さらに、観光地以外の商店はすっかり閉まる習慣のあるフランスで、この地域は日曜営業の店が比較的多い。主催者側は、食べ物に敏感なフランス人がマレ地区に繰り出して、羊羹コレクションにも足を運んだと分析する。4日間の開催だったが、土日は津波のように人が押し寄せ、特に生菓子作りのデモンストレーションが行われたフロアは立錐(りっすい)の余地がないほどの来訪者で埋まった。パリ在住の日本人も多数訪れた。
フランスでは、豆は粒状のまま煮るなどして塩辛い味付けで食べることが多いため、主催者側は当初、甘い豆に抵抗感があるのではと心配していた。しかし、実際は「どこに売っているのですか」「ここで買えないのですか」という問いかけが相次ぎ、フランスの人たちに好印象を持たれたことがうかがえた。
虎屋の黒川光晴取締役(31)も「一口食べてウーンとなって、手を引っ込める人は、私が対応した中でもわずか2人くらいで、食べたときに変な顔をする人が少なかったことに逆に驚きました」と話す。米屋の諸岡良和社長(41)も「日本と食文化が違うのに、意外と小豆への拒否感がない」と驚いた様子だった。