パリ中心部に近いとはいえ、コンベンションセンターやホールのような大きな施設ではなく、注意しないと通り過ぎてしまう細い小道に面した小さな建物が会場で、当初は「1日150人来ればいい方だろう」とさえいわれた。だから、予想外の大勢の客の来訪に関係者は喜びを隠せなかった。
商談に発展しそうなケースも見られた。菊地さんによると、試食していた客が突然名刺を取り出して「この黒糖の羊羹が口に合った。どこで買えるのか」と質問されたほか、「経営しているカフェで出したい」「和食レストランを始めたいが和菓子が必要だ」などという申し出が相次いだという。
米屋(千葉県成田市)の諸岡良和社長(41)も、「日本の人口が減ってマーケットも縮小するのだから、外国への販売も考えなくてはいけない」と話す。
今回は2015年度の中小企業庁「ふるさと名物応援事業補助金(JAPANブランド育成支援事業)」に採択されているため、現地での販売はできなかったが、今後は販売を視野に入れた展開も検討するという。