【STAP細胞】小保方氏 「承服できない」抗戦宣言

2014.4.2 09:15

 ≪STAP細胞論文 理研が不正認定≫

 「捏造(ねつぞう)」「改竄(かいざん)」-。4月1日に理化学研究所(理研)が開いた記者会見は、およそ科学者の口からは想像できない言葉が次々と飛び出した。小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)の説明を納得するのは困難として頭を下げる理研幹部たち。「承服できない」。その姿を否定するように、小保方氏は徹底抗戦を宣言した。STAP細胞の再現には時間がかかるとみられ、両者の食い違いは泥沼の様相を見せてきた。

 「予想外の結果」

 やつれた顔がみるみる青白くなり、出てきた言葉は「承服できない」「動機は何なのか」。小保方氏は、論文に捏造、改竄があったと認定した理研の調査委員会の最終報告を「予想外の結果だ」として、憤りで受け止めたという。

 1日の会見に出席した理研の川合真紀(まき)理事や、小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士(58)によると、小保方氏は3月31日昼過ぎ、神戸市のポートアイランドにある理研神戸研究所の一室で、最終報告を川合理事から直接手渡された。調査結果の内容が読み上げられると、やつれていた小保方氏の顔は、血の気が引いたように、みるみる青白くなったという。

 予想外の内容に呆然(ぼうぜん)とする小保方氏は、特に「捏造」「改竄」と指摘されたことに憤り、調査結果の説明が終わると「到底承服できない」と発言、その場で不服申し立てをする方針を伝えた。「動揺した様子だった」。川合理事は振り返る。

 最終報告では画像のすり替えがあったと指摘されたが、小保方氏は真正の画像があると反論している。「悪意を持ってわざわざ別なものにすり替える動機は何なのか」。こう不満を漏らす場面もあったという。

 三木弁護士は3月中旬から複数回にわたり小保方氏と打ち合わせをしてきたが、小保方氏は精神的に不安定な状態で、現在は神戸市内で関係者に付き添われて生活しているという。

 「(STAP細胞の)記者会見をしたときから、これまでさらされたことのない環境に置かれている。心身ともに疲れ切っている」と川合理事。

 三木弁護士は「理研には真意が伝わっていないのではないか。本人は対外的な発言を禁じられており、反論の機会がない。苦しい気持ちが続いている」と思いやる。

 小保方氏は問題発覚以降、最終報告の会見も含め公の場に姿を見せていない。三木弁護士によると、小保方氏は理研から最終報告が出るまで外部に発信しないよう言われていたが、「自分の知らない、関与していない情報」が出てきたことに心を痛め、反論する方針を示したという。

 今後は理研の規定に従い9日までに不服を申し立て、その前後に記者会見も行う意向だが、三木弁護士は「精神状態が安定せず、興奮することもある。的確に答えられるだろうか」と、不安ものぞかせた。

 ≪小保方氏のコメント全文≫

 調査委員会の調査報告書を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に、研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規定で「研究不正」の対象外となる「悪意のない間違い」であるにもかかわらず、改竄(かいざん)、捏造(ねつぞう)と決めつけられたことは、とても承服できません。近日中に、理化学研究所に不服申立をします。

 このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体が捏造であると誤解されかねず、到底容認できません。

 レーン3の挿入について。

 Figure 1iから得られる結果は、元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。そもそも、改竄をするメリットは何もなく、改竄の意図を持って、Figure 1iを作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えからFigure 1iを掲載したにすぎません。

 画像取り違えについて。

 私は、論文1に掲載した画像が、酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので、単純なミスであり、不正の目的も悪意もありませんでした。

 真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。したがって、画像データを捏造する必要はありません。そもそも、この画像取り違えについては、外部から一切指摘のない時点で、私が自ら点検する中でミスを発見し、ネイチャーと調査委員会に報告したものです。

 なお、上記2点を含め、論文中の不適切な記載と画像については、すでにすべて訂正を行い、2014年3月9日、執筆者全員から、ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。(SANKEI EXPRESS)

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