【中塚翠涛 ココロのかたち】蓮 心を浄化し、穏やかな気持ちに

2014.7.31 14:35

 皆さま、こんにちは。先週梅雨が明けて、本格的な夏がやってきました。

 この季節になると、時間をかけても見に行きたくなる花があります。日が出るころにつぼみが開き始め、お昼ごろには花弁が閉じ、咲いてから3日から5日で散ってしまう花…。今回のテーマに選んだ「蓮」です。

 蓮は、インド原産の植物で、泥水の中で生え育ちながら、水上で美しい花を咲かせます。きれいな水だと、花が小さいとも聞きます。その姿に人生を重ね合わせ、苦労すれば苦労した分だけ、人間として輝くことができる、そんなことを考えさせられます。

 涼気をよぶ紅の花

 先日、朝早くに横浜の三渓園をたずねました。

 門をくぐると、まさに別世界。見上げると、小高い丘に三重の塔が建ち、梅、桜、藤、牡丹、紅葉など季節によってさまざまな草花が楽しめるようです。そして、今の季節は蓮。一面に広がった蓮の葉は朝の光をいっぱいにうけ、ゆらゆらと気持ちよさそうに風に揺れていました。ところどころに顔を見せる紅の蓮は、息をのむ美しさ。風に身を任せ揺れるさまは、見ているだけで心を浄化し、穏やかな気持ちにさせてくれます。

 開園とともに、三脚と大きなレンズのカメラを持ったおじさまや、お弁当片手に「蓮の葉って大きいね、この上を歩いていけそうで、なんだかジブリの世界みたい!」と無邪気に笑うカップル。訪れる人たちは、思い思いに朝の時間を過ごしていました。

 ちょっぴり早起きをして、泥から出でて懸命に花弁を広げる夏の花を見に出かけませんか?

 【気楽にレッスン♪】

 ■ひらがなは小さめに書くとバランスがよい 今回は、はがきで出す、夏の時候の代表的なあいさつを練習しましょう。はがきを出す時期は、一般的に、「暑中見舞い」は小暑(今年は7月7日)から立秋(8月7日)の前日まで、梅雨明けから立秋の前日までといった説などがあります。「残暑見舞い」は立秋を過ぎてから8月いっぱいとされていますが、日にちはひとつの目安にされるといいかと思います。

 文章の書き出しには、「拝啓」「前略」といった頭語はいりません。季節のあいさつから始め、その後に相手の近況をたずね、自分の様子を伝えましょう。最後に相手の無事を祈ります。

 書くときに気をつけるポイントは、文字のサイズです。ひらがなは、漢字に比べて小さめに書くとバランスがよく見えます。また、「し」と「す」のような文字は払いをなめらかにすると、美しく見えます。はがきを出す相手を思い、気持ちを込めて、繰り返し練習してみましょう。(書家 中塚翠涛(なかつか・すいとう)、写真も/SANKEI EXPRESS)

 ■なかつか・すいとう 岡山県倉敷市生まれ。4歳から書を学ぶ。大東文化大学文学部中国文学科(現・中国学科)卒業。古典的な書をもとに、平面のみならず、ガラスや食器に文字のもつ魅力を表現し、国内外で活躍。テレビ朝日系「中居正広のミになる図書館」に「美文字講師」として出演。手がけた題字は、テレビ東京系の新春ワイド時代劇「戦国疾風伝 二人の軍師」、映画「武士の献立」「劇場版 SPEC 結 漸ノ篇」「爻ノ篇」など多数。ペン字や手紙に関する著書も多く、大ベストセラーの「30日できれいな字が書けるペン字練習帳」(宝島社)、「美文字のすすめ」(幻冬舎文庫)や「コトバノ森」(パルコ出版)、「履歴書やエントリーシートがキレイに書ける 美文字練習帖」(小学館)など。

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