秋の味覚で体を整える 大和田潔

2014.9.22 11:05

 【青信号で今週も】

 日本は四季豊かな国です。今年の夏も猛暑でしたが、すっかり秋めいてきました。秋は雨の多い季節でもあります。東京では日照時間が夏の3分の2ほどに減少し、薄暗い日が多くなります。睡眠と覚醒のリズムに太陽光は重要です。明るい人工の光を浴びることで睡眠リズムを整える治療法は、高照度光照射療法(こうしょうどひかりしょうしゃりょうほう)と呼ばれて臨床応用されています。

 眠りにつくと、私たちの脳にはメラトニンという物質が分泌されます。起床して朝日を目に受けると、メラトニンの分泌がストップします。このメラトニンの分泌と停止のリズムが、睡眠と覚醒のリズムの基本を作ります。

 時差ぼけを解消するサプリメントとして、メラトニンが用いられることがあります。保険診療でもメラトニンの受容体を刺激するラメルテオン(ロゼレム(R))という薬剤が、睡眠リズム障害の治療薬として用いられています。ラメルテオンは、脳の覚醒機能を低下させて眠りにつかせる睡眠薬ではありません。

 秋雨前線が停滞したり、台風の通過により雨や曇りの日が多く薄暗くなる秋は、このメラトニンのリズムを崩しやすくなります。冬になると、気温は下がるものの日照時間は少し回復して明るい朝の日が増えてきます。

 とはいえ12月にやってくる冬至(とうじ)では昼間の時間は9時間ぐらい、夏至(げし)の16時間ほどと比べると7時間近く昼間の時間が短くなります。明るい昼間の時間が短くなることは、冬季うつ症状につながる別の危険性をはらんでいます。

 秋に体の不調を訴える「秋バテ」症状を緩和するためには、睡眠リズムを整えて体力を保つことが重要になります。昼間に軽い運動をして、夜はゆっくり入浴してリラックスして眠りにつくのも良い方法です。

 最近、旬の食材であるサケに含まれるアスタキサンチンと亜鉛が、良質な睡眠をもたらして脳の睡眠リズムを整えることが報告されました。昼間のサケ弁当もいいものですが、夜にサケの入ったおみそ汁とさらに亜鉛を補給するためにカキフライを食べるというのも良いかもしれません。

 四季の恵みがあふれる食材が、体を整えてくれるのはうれしいものです。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)

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