とくに自動車に興味がなくても、ダイハツの軽トールワゴン「ウェイク」のコミカルなテレビコマーシャルにピンとくる人は多いのではないだろうか。人気俳優の玉山鉄二が演じる男気たっぷりで、ついついやり過ぎてしまう“あんちゃん”が、弟や恋人のために愛車の屋根を切り取るなど大胆に改造してしまう、あのCMだ。キャッチフレーズの「ドデカクつかおう。ウェイクだよ。」は、いつまでも耳に残る強烈なインパクトがあるが、最近新しいバージョンのCMを見たときに、ふとこんなことを思った。日本人離れした巨体の持ち主でも、軽自動車のウェイクをドデカク使えるのだろうか…。思い立ったが吉日、ということで、すぐにダイハツ広報部に電話をして車両を手配。体重140キロの若手お笑い芸人を半ば強引に連れ出し、突飛でどうでもいいようにも思える実験的な企画がスタートした。(文・カメラ 大竹信生)
大自然でレジャーを楽しむ
約1年前に販売開始したウェイクは、もともと運転したいと思っていたクルマだった。2013年の東京モーターショーに参考出品した「DECA DECA(デカデカ)」をベースに市販化。最大の特徴はなんと言っても、トヨタのランドクルーザーとわずか45ミリしか変わらない1835ミリという背の高さだ。もちろん、軽自動車ナンバーワンの長身。とにかく広々とした車内は圧倒的な居住スペースと積載力を誇り、普段使いからアウトドアまでシーンを問わず対応できる4人乗りワゴンだ。見るからにバランスの悪そうなノッポな車体と、LEDで縁取ったヘッドランプがとても個性的で、初めて見たときからすごく気になる存在だった。
そんなウェイクにせっかく乗るのだから、CMのようにドデカク使ってみたい。身長172センチ、体重71キロの私のようないたって平均サイズな日本人男性なら、快適に使えて当たり前のはず。ウェイクは100キロオーバーの男でも、何の不便もなく楽しむことができるのだろうか。彼らに優しくしてくれるのだろうか。どうせ検証するのなら、東京から脱出して大自然の中でレジャーを楽しみたい。よし、寝袋やマットレスを積み込んで、1泊2日の予定でワカサギ釣りに行こう。もちろん、夜はウェイクで車中泊だ。
ウェイクを運転していて何度も感じたのは、その車内空間を心から楽しんでいるというワクワク感だ。決して目的地へ急ぐようなクルマではないと思う。運動性能を求めるのも何か違う気がする。今、この瞬間を仲間と味わいながら、ゆったり運転するといった面白さがこのクルマの持ち味ではないか。
車内はとても広く、クルマに“詰め込まれている”といった感覚がないので、心にゆとりが生まれやすいこともワクワクする要因か。どんなクルマでも開放感は大事だ。普通のクルマとは違った“別の乗り物”に乗っているような印象も受けた。天井が圧倒的に高いだけでも、不思議と気分が盛り上がる。ファミリーだけでなく、友人との付き合いがまだまだ多い若者にもオススメしたい一台だ。