その大きな機体に強力なエンジンを2機搭載し、高度な飛行性能を与えた。推力重量比は1・27。この数字は、理論上は翼による揚力を借りずとも、ロケットのように垂直に打ち上げられるだけのパワーを持つことを示す。
量産は2001年から始まり、2011年に最終号機の187号機が工場を出て、生産は終わった。当初の計画では750機を生産する予定だったが、1機あたり1億5千万ドル(約170億円)とも言われる高価格と、冷戦構造の崩壊による軍縮の潮流がネックとなり、わずか4分の1の生産で終わった。米軍や航空自衛隊が運用するF-15は1機100億円とされ、F-22が極めて高額なことがわかる。
その性能は折り紙付きだ。しかし、コンセプトから数えれば30年以上前の飛行機に、なぜいま再生産の話が持ち上がるのか。実はいま、最新鋭の戦闘機として生産が進むF-35に疑惑が持ち上がっているのだ。
開発費高騰とF-35
新型戦闘機を作るにあたって、開発費は年々高騰してきた。一つの理由は1970年代、米国製戦闘機F-16ファイティング・ファルコンにおけるFBW(フライ・バイ・ワイヤ)の実用化だ。