センターコンソールに配された各種スイッチには、トグルスイッチが使われている。トグルスイッチは、30年くらい前はオーディオなどの家電製品にも多く採用されていたが、やがて押しボタンに取って代わり、さらには電磁スイッチに世代交代して、姿を消していった。個人的には、飛行機のコクピット(あるいはスター・ウォーズのファルコン号)の操作盤にたくさん並んでいるイメージがあって、そんなスイッチをパチンパチンと操作しながら運転していると、それだけで気分が上がってしまう。なんと、エンジンのスタートボタンまでトグルスイッチ。しかも、ドアロックを解除し乗り込むと、「さぁ走ろうぜ!」と誘うかのごとく、そのスタートスイッチが脈打つように赤く明滅してくれるのだから、もうたまらない。
言うまでもないが、どのスイッチを操作しても、ミサイルもマシンガンも発射されないし、撒き菱や煙幕も出てこない。屋根を吹っ飛ばして助手席が強制排出されることもないから、安心して家族や彼氏・彼女を乗せてあげてほしい。
くだらない冗談はさておき…ここまで書いておきながら、ボンドカーとはちょっと趣が違うけれど、このテイスト、やはり何かに似ているなと考えてようやく思い至った。円にこだわったポップなデザイン、レトロなトグルスイッチを多用した60年代風ギミック。いかにも秘密兵器が積まれていそうなワクワクする雰囲気。かの英国発の名作マリオネットアクションドラマ、「サンダーバード」の世界観に非常に近い。現行ミニを、内外装のデザインそのままにあのドラマの世界に投入したら…おそらく、まったく違和感なく溶け込んでしまうのではないだろうか。こんなテイストのクルマは、少なくとも現行車種では他に類を見ない。