こんな人にお勧めしたい
では、ディーゼル車はどんな人に向いているのか。エコカーといえば、日本ではハイブリッド(HV)が人気だが、燃費は良くても実際に乗ってみると走りが物足りなかったりする。存在感が増しているプラグイン・ハイブリッド(PHV)は燃費良く走るために、極力モーターで走ることが求められるが、EV走行を多用すれば航続距離がどんどん短くなる。三菱アウトランダーPHEVや新型プリウスPHVでも60キロ程度だ。EV用スタンドもまだまだ少ない。最近のクリーンディーゼルは「黒煙をモクモクと上げて環境に悪い」「カラカラとうるさい」といった従来のディーゼルエンジンの弱点もどんどん取り払われている。走りの楽しさを重視することはもちろん、環境への意識も高く、長距離を走る機会が多いユーザーにこそ、低燃費&クリーンでトルクも太いディーゼル車をお勧めしたい。今回のようにオフロード走行を伴うアウトドアにも打ってつけだ。
気になる総合評価は?
V60 クロスカントリーは泥だらけになって遊んできても、ボディの汚れをきれいに落とせば、オシャレな市街地にすんなりと溶け込むことのできる洗練されたスタイルを持っている。試乗車のボディカラーはホワイト系だったが、まず商用車と間違われることはないだろう(まあ、高級感のあるクリスタルホワイトパールだけど…)。低速域でも力強いディーゼルエンジンはソリッド感たっぷりで、オンロード/オフロードのどちらでも頼もしい存在だ。おまけに見た目に似合わないスポーティーさも手に入れている。前編で挙げた「利便性」「スポーツ性能」「走破性」はすべて備えていた。レガシィ アウトバックとの比較になるが、AWD設定がないということ以外にレガシィより劣るネガティブは見当たらなかったし、ボルボらしい安全装備には、考え抜かれたインテリジェンスが感じられた。ただ、やはりオフロード仕様ならディーゼルモデルにもAWDが欲しい。あと、500万円近くするクルマなら、インテリアにメルセデス・ベンツのCクラスのように「さすが!」と言わしめる高級感があると嬉しい。
全体的にはとても満足のいくクルマだ。筆者が2回旅行したノルウェーなど北欧では夏になると、サマーハウスと呼ばれる別荘で休暇を楽しむ人が多い。荷物をたくさん積んで高速道を飛ばし、海岸線や山道を気持ちよく駆け抜けるには、V60は非常に使い勝手のいい相棒となりそう。同じように自然が豊かな日本でも、様々なアウトドアをクロスオーバーSUVで楽しむことができる。ちなみにV60のVは「多様性」を意味するVersatilityから由来する。いろんな用途に対応できるのが強みだ。試乗後に意識して周りを見てみると、結構V60/V60 クロスカントリーが走っていることに気付いた。ちなみに筆者のお勧めカラーはオニキスブラックメタリック。赤いテールランプが一番引き立つし、何よりクールでカッコいいですよ!(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)