それに、ちょっと時間がかかってもやはり電動は楽だ。ロードスターで乗ったままルーフ開閉する時はちょっと腰をひねる必要があるので、体の硬い人には実はしんどいのである。いわんや、のり巻き式&ボンネット収納のS660の煩雑さとはもはや比べるべくもない。
他の車種にも応用されたら…画期的着せ替え機能
2代目となる現行コペンの最大のセールスポイントは「Dress-Formation」と名付けられた着せ替え機能だ。
これは「DーFrame」というクルマにかかる力を骨格部分だけで受け止める特殊な構造が可能にしている。ボディ外装でクルマを支える必要がなくなるため、樹脂素材を使うことで軽量かつ自由度の高いデザインを実現できるというわけだ。
前編冒頭でも紹介したとおり、コペンにはローブ、エクスプレイ、そして今回試乗したセロという3つのバージョンがあるが、ローブとセロの間では、ドアパネル(ここだけ金属製)を除くすべてのボディ外板を交換することができる。ドアから前だけ、ドアから後ろだけの交換も、元のボディと色違いにすることも可能だ。
趣味性100%の機能であり、いまはコペンでしかできないけれども、このコンセプトが他の車種にも応用されていったら…と想像すると、クルマの買い換えの概念を大きく揺るがすほどの画期的なアイデアだと思う。
驚くのは、金属製のドアと樹脂製のフェンダーの塗装の仕上がりがまったく見分けがつかないことだ。触ったり、指先で軽く叩いたりしてみないと、目で見ているだけでは本当にわからない。普通のクルマでもバンパーやドアミラーはボディ同色の樹脂せいだったりするわけだが、ここまで大きな面積のパーツが素材が異なるにもかかわらず、見分けがつかないとは思わなかった。ダイハツに限った話ではないかもしれないが、塗装技術の高精度化を垣間見た気がした。
先に少し触れたように、ハードトップには「Dラッピング」と呼ばれるラッピングが施されているのだが、これまた曲面にもかかわらずとてもラップしたようには見えないきれいな仕上がり。外装だから当然耐候性も考えられているはずで、着せ替えと合わせると、実は外観に多くの開発費をかけたクルマであることがわかる。