そう書くと毎日の運転が心配になるかもしれないが、一般道を走る分にはそこまでパワーのことは気にならないし、低速域のトルク感はなかなか力強い。アクセルを踏んだ時にエンジンが後ろから車体を押し出す感覚や敏捷なハンドリングは、RRの特徴が色濃く出ていてワクワク感すらある。キャビン後方から聞こえるエンジン音も実は心地よく、普段のドライブにピリッとスパイスを効かせるプラス要素となる。
東京の街にもぴったり
コンパクトボディーはクルマの多い東京都心でも走りやすかった。車線変更時にスッと車間に入りやすく、Uターンも一発で決まるなど、とにかく取り回しに優れている。フロントにエンジンがないため、ハンドルを切ったときのタイヤの切れ角が大きく、軽自動車並みに小回りが利くのだ。ボンネットが小さいため前方の見晴らしは良好で、車両感覚もつかみやすい。
5速MTは、ギアがスコンスコンと気持ちよく入る感覚こそないが、クラッチのミートポイントさえつかめば操作は簡単。メーターは大きくて見やすいが、エンジンの回転数を示すタコメーターは装備されない。インパネやセンターコンソールを縁取るプラスチックのラインは、男性でも気分が上がるほどにお洒落。こういった遊び心が車内の雰囲気をパッと明るくしてくれる。
前席の居住性は想像以上に快適
居住性だが、前席は頭上空間や横幅に十分なスペースを確保している。ヘッドレストと一体型の硬めのシートはサポート性も問題なし。後席も試したが、身長172センチの筆者は膝元がやや窮屈に感じた。小型車に多くを求めてはいけないと分かりつつ、できれば後席には乗りたくないなぁ、というのが正直な感想だ。