N-BOXが安定して高い人気を誇る理由の一つが、この幅広いラインアップだろう。見た目や雰囲気の異なる派生車種を豊富に揃えることで、ユーザーの多様なニーズにしっかりと応えることに成功しているようだ。子育て層をターゲットにした標準モデルが売れ筋だが、押し出しの強いカスタムモデルやお洒落なデザインが際立つN-BOXスラッシュは若年層からの支持が多いという。女性目線を意識した丸みを帯びたデザインが多いトール系の中で、男性でも抵抗感の少ないユニセックスな見た目も台数が出る要因だと考える。
やっぱり「いいね!」なスライドドア
インテリアに目を移そう。ここからは標準モデルを中心に話を進める。前席は開口部が90度近く開くヒンジ式のドアを採用しているが、後席へのアクセスは電動スライドドア(リア右側の電動ドアはメーカーオプション)を開けて乗り込む。ドアを開けた時の開口幅は64センチとかなり広い。我が家で使用しているベビーカーの横幅が50センチ弱なので、これならボディを傷つける心配もなさそう。最近のトール系はスライドドアが主流だが、この便利さを一度味わうとなかなかヒンジ式には戻れないだろう。メリットは「幅が狭い所でもドアの開閉ができる」「乗り降りが楽チンで荷物も積み込みやすい」「チャイルドシートに子供を乗せやすい」などが挙げられる。よく考えると、オフィスやレストランに入るときは自動スライドドアの方が楽だし、もし現代のバスや電車のドアが昔のようにヒンジ式だったら様々な事故が起きそう、などと考えてしまう。引き戸は多くの乗り物にとって、とても合理的なドアなのだ。一緒に試乗インプレを担当する小島氏の「ロードスターRF」の電動ハードトップの話にもあったが、電動スライドドアの唯一のデメリットといえば、手動と比べて完全に開くまで「待たされる感」があることだろう。ただし、使用時の安全性を考えると、ゆっくり開閉すべきなのだと納得がいく。