質感がいいとやっぱり嬉しい
後回しとなったが、運転席はどうか。着座すると視点が高くフロントウインドーが大きいので、見晴らしは抜群にいい。一つ難点を挙げるなら、フロントウインドーがほぼ直角に立っているせいで、ルーフ先端がドライバーの頭よりかなり前に突き出しており、列の前方で信号待ちをしていると、頭上付近にある信号機がルーフにさえぎられて見えづらいことだ。これはどのトールワゴンにも言えることでもある。また、窓が直立したトールワゴンは空気抵抗が大きいため、一般的な軽と比較して燃費性能が不利になりがちだ。
センターコンソールの操作系スイッチやシフトレバーの使用感など、車内の質感は想像以上に高かった。ボタンやレバーを操作したときの安っぽさがほとんどないのだ。これもN-BOXの人気の秘密ではないだろうか。もう「軽だから…」という言い訳は通用しないくらいしっかりと作りこまれている。シートは程よい軟らかさがあって座り心地がいい。センターメーターが多いトール系では(おそらく)唯一の3眼メーターは、ドライバーのテンションをちょっとだけ上げてくれる。ドリンクやスマホといった小物を置く収納スペースもしっかりと確保してある。前席の背面にあるテーブルは、後席に座って子供の世話をするママさんにとって相当使い勝手がいいはずだ。
これらすべての車内活動が快適に行えるのも、軽最大級の室内空間を誇るN-BOXだからだろう。このクルマの広さを最大限に実感できるのは、後席から車内を見渡したときだ。昔の軽の窮屈さからは想像できないくらいに、広くて明るくてワクワクする空間が広がっている。特にターゲットとするファミリー層には、車内の広さや使い勝手の良さが明確で非常にアピール力が強い商品だと感じる。1年ちょっと前にある自動車ジャーナリストと話をしたときに、「最近の軽は驚くほどよくできていて、性能がいい」と大絶賛していた。軽は税制面や維持費でも登録車より有利であることを考えると、消費者の様々なニーズを高いレベルで満たしてくれるN-BOXが支持されても驚かないわけだ。