足かけ3日間走り終え車両返却直前の給油時、満タン計測法でリッター17キロ台と2リッタークラスのエンジンとしては驚異的な数値になった。しかも燃料はリッター100円前後の軽油だから、このクルマを買ったら毎週末遠出せずにはいられなくなるだろう。
乗り始めの小一時間は違和感
阪和道を撮影ポイントの白浜町・円月島に向け「いいクルマ感」を満喫しつつ走らせながら、ふと我に返る。冷静に考えるとこのクルマ、スペック的には競合車種に対して何ら突出している部分はない。燃費は間違いなくトップクラスだが、動力性能的にも、乗り味的にも、代わりが務まる競合車はいくつもある。だが、運転していてどうにも気分がいい。他社Dセグのセダンやステーションワゴンでは味わえないタイプの気持ちよさが確かにあるのだ。それはなぜか。
おそらく答えは、このクルマ特有のフォルムにある。
実は乗り始めの小一時間は違和感があった。全高はさほど高くなく、着座位置もセダン的であるにもかかわらず、ダッシュボードが異様に長く、ボンネットはほぼ見えない。しかも前席ドアとフロンドウインドーの間に大きく長い三角窓が展開しており、視界の広がり方がミニバン的なのだ。この印象に最も近かったのはトヨタ・初代エスティマ(公私含め私が今までに乗ったクルマの中で)、と言えばDセグのクルマとしてどれだけ異色かおわかりいただけるだろうか。
試乗する前から「セダン的なDセグ」という先入観を持ち、実際に姿勢も高さもセダン的な位置で運転しているのに、目から入る情報だけがミニバン的なので、頭が混乱したのだと思う。