やっぱり悪路はAWD
高速道を降りてからワインディングを試したが、過度なロール変化や車体が揺さぶられるようなナーバスさとは無縁。ハンドリングのバランスが安定していて、コーナー出口の姿勢もきれいだ。車高をリフトアップしたことによる走りへの影響は、ほとんどの場面で感じさせなかった。
山中湖に到着して湖畔の砂浜を走ってみたが、やはりAWDは安定感抜群。ちょっとした凸凹やぬかるみも苦にすることなく確実にグリップして進んでいく。昨年、V60の試乗記で「できればディーゼルモデルにもAWDが欲しい」と書いたが、やはりオフロードで何の不安もなく走るなら四駆は必須。都会から大自然の悪路まで行く道を選ばないV90 クロスカントリーは、どのポジションもこなせるオールラウンダーだ。
いいことしか見当たらないV90だが、いくつか気になった点を挙げよう。まず日本の道路では全幅1905ミリというサイズはやや気を遣う。隣にタンクローリーなどの大型車が並ぶと冷や冷やする。信用していないわけではないが、自動運転中はなおさらだ。硬めのシートはもう少し厚みが欲しい所。極端な例えになるが、野球場でプラスチック製のシートにずっと座っていると、やがて腰や臀部に負担がかかってクッションが欲しくなる。シートをもっと肉厚にすれば長時間ドライブのときに体への負担を軽減させられるはず。後席に関していえば、座面にもっと高さと奥行きを持たせて太ももをゆったり預けられるよう改良を加えて欲しい。
ちなみに今回の走行距離は341.5キロで、満タン法による燃費は10.23キロ/リットルを記録。12.9キロのカタログ燃費に対して、かなり優秀な実走値だ。実は試乗車より更にパワフルな「T6」エンジンを搭載した上級モデルもあるが、筆者はT5でもまったく不足を感じなかった。燃費性能も考えると個人的にはこちらで十分だ。
ロードインプレッションはここまで。後編では内外装のチェックや総評をお届けする。お楽しみに。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)