昨年12月の発売以来、王者プリウスを脅かすほど爆売れしているトヨタ・C-HR。斬新なスタイル、流行りのコンパクトSUV、プリウス譲りのエコ性能に手頃な価格…と売れる条件に事欠かない。今回は廉価グレードのガソリン仕様車に試乗、その走りに迫る。(文と写真:産経新聞Web編集室 小島純一)
新しいシャシー、ニュルで磨かれた走り
2014年のパリモーターショーで発表されたコンセプトモデルを原形とするC-HR。そのイメージに忠実に、エッヂの立った「攻め」のデザインで昨年暮れに市販化され、トヨタ車=無難というイメージを持つ人々を驚かせた。
日本自動車販売協会連合会が発表した今年4月の乗用車販売台数ランキングでは、鉄板人気のプリウスに大差をつけて1位を獲得。5月にはプリウスが逆転、2位となったものの、依然として月間1万台超を売る勢いだ。
C-HRは、現行プリウスに次いでトヨタの新世代プラットフォーム(シャシー)TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)を採用した2車種目である。走行性能を突き詰めるため、世界中のメーカーが高性能車のテストコースとして多用することで知られるドイツのサーキット、ニュルブルクリンクで走りに磨きをかけた異例の開発プロセスも話題になった。TNGAについては大竹記者のプリウス試乗記を参照していただくとして、そろそろインプレッションに移ろう。
何コレ?めっちゃええやん!
今回試乗したのは最廉価グレードのガソリン仕様車「S-T」(ハイブリッド仕様は後日、土井記者の【CARとれんど】で試乗記を配信予定)。ターボ付きとは言え、1.2リッターのエンジンで1.5トン近い車体を満足に動かせるのかがもっとも気になるポイントだ。なお、今回は諸事情で東京都心→山梨→奥多摩での試乗となったことをお断りしておく。
実はこのクルマ、北米では自然吸気の2リッターエンジン仕様を販売している。と言うか北米はその仕様のみ。確かにボンネットフードを開けてみると、1.8リッターのハイブリッドシステム搭載を前提にしているだけあって、1.2リッター仕様はエンジンルームがスカスカ。「NIKKEI STYLE」の開発担当者インタビューでは、パワーユニットの選択肢を増やしたいとの主旨の発言も見受けられる。そう遠くない未来に2リッターターボを積んだホットモデルなんかが出てくるか? このシャシーとサスペンションの組み合わせだったら、むしろそのくらいのパワーのほうが釣り合う気がする。ま、単なる個人的希望ですが。
さて、次回後編は特徴的なスタイルと使い勝手の掘り下げ。内外装のディテールのほか、まだコンセプトモデルだった2015年の東京モーターショーの時の画像などを増し増しでお届けする。お楽しみに。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)