▽まじめで勤勉な国民性、日本人とドイツ人
よく耳にするのが、日本人もドイツ人もとても“まじめ”で“勤勉”な国民性であるという評価です。
ただちょっと違うのは、日独間にある“まじめ”と“勤勉さ”の定義の違いです。ここでいうドイツ人の“、まじめさ”や“勤勉さ”とはあくまで社会や社内の“ルール”に則って行動するということ。労働契約には、給与額はもちろん、有給休暇の日数や禁止事項、退職時のことまで細かく明確に記されています。ドイツ人は基本的に、法律や規則を遵守し、その範囲でしっかりと働きます。
もちろん、職種や企業にもよりますが、基本的に決められた就業時間を超えて、残業はしませんし、ちょっと具合が悪いだけでも仕事を休みます。例えば労働法で雇用主が、労働者が会社を休む理由やその真偽を問うことは禁止されており、本人が体調不良というのであれば、それを認めるしかありません。つまり「具合が悪いから休む」という個人の“休む権利”を主張することが認められているというわけです。
その代わり、与えられた仕事はしっかりやるのがドイツ人。出勤をいつもより少し早めたり、休日出勤をすることで、病欠で遅れをとった仕事を自分のペースで最後まできっちりやり遂げます。
また休憩時間も同じです。例えば、弊社ではフライト時間に応じ、労働法により、フライト中、ある一定の休憩時間を取らないといけないのですが、少しでも休憩開始時間を過ぎてまでお客様の対応をしていると、上司や同僚に早く休憩に行くよう怒られるくらいです(笑)。
多少の体調不良をおしてでも、周りの同僚に迷惑をかけないようにと会社に出勤し、残業や休日出勤が当たり前になっている日本人の仕事に対する“責任感”や“勤勉さ”とはまた全然違いますよね。日本の企業での勤務経験のある筆者は、このドイツの“労働法に基づいた勤勉さ”の定義をはじめて聞いた時、まさに目からウロコでした。