【試乗インプレ】オーナー自ら操るという選択肢 幽霊のように舞うロールス・ロイス「ゴースト」 (4/5ページ)

  • 国会議事堂前を走るロールス・ロイス「ゴースト」。漆黒のボディを身に纏った不気味な風貌はまさに“幽霊”のよう
  • ゴーストと明治百年記念展望塔
  • 東京湾アクアラインのトンネル内を走行
  • 後席からの景色。まるで音を消したテレビ画面を眺めているような感覚に陥る
  • ロールス・ロイスのゴースト
  • ロールス・ロイスのゴースト
  • ロールス・ロイスのゴースト
  • ロールス・ロイスのゴースト。職人が手描きしたオレンジ色のコーチラインがアクセント
  • ゴーストのダッシュボード周り
  • オレンジ色の針先がお洒落なアナログ時計。ダッシュボードはアルミニウムをカーボン素材に織り込んだコンポジット材を使用
  • キラリと輝くパワーウインドースイッチ
  • ドアトリムに配したスピーカーとインナーハンドル
  • ホワイトバックが美しいメーターパネル。その下は液晶ディスプレイ
  • 上から電気式パーキング、オートホールド、エンジンボタン
  • オレンジの加飾が映える細めのステアリングホイール。中央にはロールス・ロイスのエンブレム「ダブルアール」(RR)
  • ハンドル脇のシフトレバー
  • センターコンソール中央のロータリーコントローラーは、ダイアル上部がタッチパッドになっている
  • エアコンの操作スイッチ
  • 運転席のラムウールマットレス。アクセルペダルはオルガン式
  • 灯火類の操作パネル
  • 電動カーテンを閉めたリヤウインドー
  • 広々とした後席。シートクーラーを入れると、シート全体から冷風が噴き出してきた。ガーゼを置いたら浮いたのにはびっくり
  • 9.2インチモニター。その下のテーブルは手前に引き出して使う
  • テーブルを使う時はいったん引き上げてから、次に手前に倒す
  • テーブルのセッティング完了
  • シートバックの9.2インチモニター
  • ゴージャスな運転席周り
  • 雨が降ってきたらここに傘が…
  • これだけでも売ってほしいと思うほど質感の高いロールス・ロイスの傘
  • ロールス・ロイスの「ゴースト」
  • ゴーストのLEDヘッドランプと、職人が手描きしたオレンジ色のコーチライン
  • エンジンフードを開けても絵になる
  • 6.6リッターV12ターボエンジン
  • 威厳を感じるリヤビュー
  • ドアの向こうには経験したことのない異空間が待っていた
  • コーチドアはロールス・ロイスの象徴の一つ
  • 威風堂々とした佇まい
  • 職人が手描きしたオレンジ色のコーチライン。外周にカーボンを使用した21インチのブラック・バッジ専用ホイール
  • 後席はコーチドア(観音開き)
  • 今日は前と後ろのどちらで?
  • 余裕のレッグスペース
  • 降りるときは身だしなみのチェックを!
  • 漆黒に塗られたスピリット・オブ・エクスタシーと、ロールス・ロイスのエンブレム(ブラック・バッジモデル)。標準モデルと配色が反転している
  • 国会議事堂前を走るゴースト
  • 日が落ち始めた迎賓館前とゴースト
  • 夕暮れ時の迎賓館前とゴースト
  • 漆黒のボディがミステリアス。日没が迫り、どこか不気味な雰囲気を醸し出す
  • 全長5.4メートルにも達する伸びやかなボディが美しいロールス・ロイス「ゴースト」
  • 国会議事堂周辺を走るゴースト
  • ゴージャスなインテリア
  • 広大なリヤスペース。これが最上位モデルの「ファントム」だと一体どうなるのか…
  • 後席は3名まで乗車可能だが、ショーファードリブンならやはり1人で贅沢に乗りたいところ
  • 頭上に広がる満天の星空「スターライト・ヘッドライナー」
  • ルームランプの操作パネル。中央の星マークのスイッチで「スターライト・ヘッドライナー」の明るさを調節できる
  • 後席アームレストを倒した奥には…
  • シャンパングラスを2本も横置きできるトレー
  • ゴーストの冷蔵庫(小島純一撮影)=アイフォーンXで撮影


 細めの大径ハンドルを握り、ギアを「D」レンジに入れて発進させる。その巨体に似合わず、1ミリ程度の微細なアクセルワークも確実に加速につながるほど繊細に動くのだが、かといって過敏な印象は全く受けない。ジェントルに伸び上がる加速感はもちろん、上り坂でも意のままに操れる力強いトルク、ハンドル操作に忠実なダイレクトな走行感など、これまで経験したことのない極上のドライブフィールに一瞬で心を奪われてしまった。

 ブラック・バッジは先述の通り、自ら運転する楽しさを訴求するハイパフォーマンスモデルである。0-100キロ加速は驚愕の4.8秒、最高速度250キロというスペックを見れば性能の高さは一目瞭然。高いコントロール性をもたらす21インチの低扁平&極太タイヤを履き、ホイールの外周にはカーボンを採用するこだわりようだ。アクセルを踏み込めばV12エンジンが躍動して瞬時に法定速度に達してしまう。これに8速ATと高性能ブレーキが組み合わされ、大型サルーンに似合わぬパワフルかつ俊敏な走りを披露する。圧倒的な動力性能はもはやスポーツカー並みだ。それなのに、どれだけ速く走ってもエンジンは低い音をかすかに立てる程度で、キャビンには常に優雅で快適な空気が流れている。試しに高速道で窓を開けた瞬間に「ゴーッ!」と風を巻き込む轟音が耳を貫いた。「外はこんなにうるさかったのか!」-。外界と車内空間を真っ二つに切り離すゴーストの高い静粛性には、もはや脱帽するしかない。

 意外にも車両感覚はつかみやすく、取り回しに難儀する場面も地下駐車場を除けば少なかった。前方はボンネットの先端に立つロールス・ロイスのマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」がいい目印になるし、実は車幅も把握しやすい。試乗前に「さぞかしデカくて走りづらいんだろうなぁ」と緊張していたのがウソのよう。それよりも、むしろ気を使っていたのはゴーストの周りを走るクルマだったのかもしれない。「混雑時の車線変更ってこんなに楽だったっけ?」と感じるほど、ウインカーを出せばすぐに前に入れてくれるのだから。そういえば、車両借り出しの際に英国人の広報担当が「周りがよけてくれるから心配ないですよ!」と緊張をほぐしてくれたのを思い出した。よっぽどの自信がなければそんなセリフは出てこないと思うが、結果的には「まさにおっしゃる通り」だったわけだ。

ガソリンスタンドからは「お断り」!?

     確かに他と比べれば大きいが…  途中からショーファー気分に浸りながら後席の小島記者に乗り心地を訪ねると、「いやー、素晴らしいね。気持ちよすぎて眠っちゃいそう」とご満悦の様子。しばらくすると、静寂な車内の後方から本当に寝息が聞こえてきた。ショーファーとして快適性を意識しながら運転していた筆者としては、たまらなく嬉しい瞬間だ。これは筆者の運転技術がもたらした結果ではなく、ロールス・ロイスだから快眠を誘えるのだ。  ロールス・ロイスを所有するオーナーの大半は、ビジネスで成功したような人たちだ。そんな彼らが愛用するゴーストはエントリーモデルとはいえ、他メーカーの高級セダンと比べると圧倒的に大きい。あまりピンとこないかもしれないが、ロールス・ロイスと肩を並べる超高級車、メルセデス・ベンツの「マイバッハ」とほぼ同じサイズである(ちなみに全長5465ミリ、全幅1915ミリ、全高1495ミリ)。地下駐車場では角を曲がるたびに神経を使ったし、ほとんどの機械式パーキングは全長・全幅でアウトだ。ガソリンスタンドに洗車で立ち寄ったときは、「この大きさだと止めるスペースが限られるので、混み合っているときは今後お断りさせていただくことがあります」とくぎを刺された。にもかかわらず、いったんサイズに慣れてしまえば、先述の通りほとんどの場面において運転に苦労することもなかった。「うちら庶民だからいいじゃん」と向かった某ファミリーレストランの駐車場では、ぎりぎり枠内に収めることもできた。富裕層がファミレスに行くかはさておき、ゴーストは後ろに乗っても運転しても非常に収まりの良い、扱いやすい高級サルーンなのだ。  優美かつダイナミックな佇まいと、濃密という意味でのリッチ感に満ちた最上級クラスの快適性とエレガントな設え。そんなラグジュアリー空間に身を置いて、ショーファードリブンによる至極の時を過ごしながら目的地へ向かう喜びは格別だ。ときにはオーナー自らハンドルを握って-。そんな贅沢な選択肢があるのがゴーストだ。  次回は4人乗りコンバーチブル「ドーン」を紹介する。お楽しみに。 ■ロールス・ロイス ゴースト(ブラック・バッジ) 全長×全幅×全高:5399×1948×1550ミリ ホイールベース:3295ミリ 車両重量:2490キロ エンジン:ターボチャージャー付きV型12気筒 総排気量:6.6リットル 最高出力:450kW(612ps)/5250rpm 最大トルク:840Nm/1650~5000rpm トランスミッション:8速AT タイヤ:(前)255/40R21(後)285/35R21 駆動方式:後輪駆動 トランク容量:490リットル 定員:5名 最高速度:250キロ/h(リミッター制御) ハンドル:右 燃費:6.01キロ/L(筆者が満タン法で計測) 車両本体価格:3890万円