走行中に電池切れ…
この日はエアコンの設定温度を高めに使用していたこともあり、走行距離60キロ未満で電欠を起こした。その途端にEVからHV走行に切り替わり、1.8リッターエンジンが稼働。EV走行時と比較するとエンジン音が耳に付くのは避けられないが、「もう充電スタンドに行くまでEV走行はできないのか…」といえば、そんなことはない。HV走行中も回生ブレーキがエネルギーを回収してバッテリーに充電。さらに「バッテリーチャージモード」機能を使えば、「EV/HV」の切り替えボタンを長押しするだけでエンジンが自ら発電して充電を開始。メーターに表示される「EV走行可能距離」が10キロ、20キロと想像以上の早さで回復していく様子はゲームのようで楽しい。わりと簡単にEV走行を復活させることができるのだ。さらに、メーカーオプションで大きなソーラーパネルをルーフに搭載すれば、太陽光をEV走行用エネルギーに変えて走るといった再生可能エネルギーならではのクリーンな楽しみ方もできる。一日の最大充電量は走行距離にして6.1キロ。屋外に数日置いておくだけで、中距離を走行できるだけの電気量を賄えそうだ。
EVとHVを使い分けるメリット
長距離を走る高速道路では、モーターとエンジンを効率よく併用させるHV走行の出番となる。駆動力が上がるだけでなく、EVが苦手とするロングドライブでも電欠の心配とは無縁。ガソリンを使用しても37.2キロ/Lという低燃費を誇るから、「とうとうガソリンを使ってしまった…」という罪悪感やガッカリ感もとくに湧いてこない。走行距離が130キロを超えてもなお、ガソリン残量を示すメーターは1目盛りも減っていないのだ。
こうして「近場はEV」「高速道ならHV」といった具合に、シーンに応じてドライバーの意思でパワートレインを使い分け、少しでもエコに意識を向けながらドライブするのは、実際に燃費・電費のよさを体感できたこともあり非常に有意義であった。
「いいクルマ」の評価は変わらず
さて、肝心の走行性能だが、トヨタ最新の「TNGA」プラットフォームがもたらす低重心&高剛性の走りは安定感があり、ドライブフィールの質も高い。リヤにダブルウィッシュボーンを採用したサスペンションはしなやかで、セダンらしいゆったりとした気持ちのいい乗り味を実現している。レールの上を行くような直進安定性に加え、コーナリングも一筆書きしたようにスッときれいに決まる。ハンドルは最近運転した新型の日産リーフよりも重く、手応えがあって楽しい反面、長時間運転しているとステアリングを切ったときの反力で次第に腕が疲れてくる印象だ。広報車はメーカーオプションの17インチタイヤを装着していたが、もし筆者がこのクルマを購入するならば、乗り心地を重視してスタンダードの15インチを選択するだろう。空力にはかなり力を入れているようで、風音はどの速度域でもわずかに発生するのみ。先述の通りモーター音もほとんど皆無なのだが、それらの代償としてロードノイズはやや目立つ。とはいえ、パッケージとしての印象はHVのプリウスに乗ったときとほとんど変わらない。「欠点の少ない完成度の高いクルマ」である。