都心には高層ビルが多く、人口密度も高いため、昼食時には大量のビジネスマンがあふれ、飲食店などは長蛇の列となる。「高層階からエレベーターを乗り継ぎ、飲食店の行列に並んで昼食にありついたのがオフィスを出てから20~30分後というケースも少なくない。貴重な休憩時間が無駄になっている」と業界関係者は嘆息交じりに語る。
ぐるなびの調査(約2000人対象)でも「月1回は昼食にありつけないことがある」との回答が36%に上った。
こうしたランチ難民に対応することで、加盟店は昼食時間帯に座席数の制約もあって取りこぼしてきた需要を取り込めるメリットがある。サントリーとぐるなびは、一定の手数料を加盟店から得られる。
実は、自販機にはある仕掛けがある。利用者は弁当を買うたびに、釣り銭口から「ドリンク10円引き」コインがもらえる。このコインを使えば飲料を割引価格で買えるため、『ついで買い』を誘い込む設計という。
自販機事業を手がけるサントリービバレッジソリューションの土田雅人社長は「手数料収入よりもむしろ利用者を自販機のほうに振り向かせること、そこに目的がある」と語った。
もう1つの狙いは、オフィス内という自販機にとって一等地といえる場所の確保だ。宅弁自販機のメリットが浸透すれば、「企業側も、サントリーの自販機を設置してもらいやすくなる」(同社)わけだ。