【木下隆之の試乗スケッチ】待望の新型スープラをテストドライブ 限界領域で遊べる仕上がり (2/3ページ)

  • トヨタ・スープラ
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 専門用語では、「Z軸まわりのヨー慣性モーメントが優れている」となる。重心点を貫くように上から車を串刺しにしたとする。その串を中心にひねった時の動きのことを、Z軸まわりのモーメントとする。それが旋回性の源だ。旋回性能を重量物が串に近ければ近いほど、コーナリングがシャープになる。そう、新型スープラは、前後重量配分を50対50としている。旋回性能に拘ったのである。

 ワイドなフェンダーから想像できるように、トレッドは十分に幅広なのに、前後車輪間のホイールベースもとっても短い。これが意味するところもまた、旋回性能へのあくなき追求である。

 バスより一輪車の方がクルクルと曲がりやすい…というのでイメージしやすいように、ホイールベースが短ければ、旋回性能がシャープになる。その代償に安定モーメントが犠牲になるものの、スポーツカーとしてはメリットが多い。

 実際にドライブ

 重心高もスポーツカーである86より低い。レーシングカーがこぞって重心を下げようとするのは、低重心化がクルマを安定させるからである。バスがどことなく上体をグラグラさせるのに対してF1マシンはその数十倍の速度でコーナリングするのと無関係ではない。

 そう、新型スープラは、その数字を耳にしただけで旋回性能に優れたマシンであることがわかる。実際にドライブしてもそれはあきらかで、コーナーに飛び込んだ瞬間に旋回挙動が始まる。ステアリング操作は穏やかでいい。だというのに、ノーズがグイグイとコーナーに引き込まれる。テールスライドに持ち込むことも容易い。これそこまさに、優れた前後重量配分ならではの技だ。

限界領域でマシンを回して楽しめる