見た!美しい国産初のステルス機「X-2」 従来機しのぐパワーと機動性

2016.3.5 17:09

【自衛隊のいま】ステルス編

 「取材場所以外の撮影は禁止です!」

 カーテンが閉めきられ、外部が見えないバスの中で、防衛装備庁の職員が念を押した。

 三菱重工小牧南工場(愛知県豊山町)で開発実験中の「先進技術実証機(ステルス機)」を取材した。この機体は開発当初は「心神」と呼ばれていたが後に、正式名称として「X-2」が与えられた。

 国産初となるステルス機が撮影できるチャンスに心躍らせるが、現場へ向かう車内は、機密に神経をとがらせる職員の緊張感を感じる。

 取材に先立ち、近くの公共施設に集められた100人を超える報道陣は、張り詰めた空気の中、取材規制などの事前説明を受けた。

 現場への移動はバスで行う。冒頭の事項を念押しされた上、取材時間はわずか20分に限定された。

 初めて目にしたステルス機は美しく感じた。白いボディーに赤いラインが映える。機体の周囲にはロープが張られ、自衛隊員によって守られているので、機体には近づけない。

 だが、少し離れて見ても従来の機体とは違う雰囲気を感じる。機体外側に向かって傾斜する垂直尾翼や、くさび形に削られた前脚カバーなどがステルス性を意識していることを感じさせる。

 ステルス性を高めるため、フランスの施設でRCS(レーダー反射断面積)のテストを受けたのが大きな特徴だ。

 ステルス性とは機体形状やレーダー波を吸収できる塗料などによってレーダーで探知されにくくする性能のことを指す。

 ステルスは、米国が冷戦時代から巨額の軍事費を注いで、その技術を磨き、世界最高の性能を誇る。

 「X-2」は、日本初となるIHI製のアフターバーナーを持つエンジンが搭載され、これまでにないパワーを誇る。パドルを用いて推力の方向をコントロールし、高機動を実現しているという。

 今後も、県営名古屋空港での滑走試験を繰り返し、2月下旬には試験飛行が予定されている、国産ステルスが日本の空を飛ぶ日が楽しみだ。(彦野公太朗)

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