《外貨の活用》(3)〈外貨投資のメリットは?〉資産運用の方法として

マネー講座

 「外貨投資」という言葉を耳にした時、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか? 「外貨での投資って、どうすればいいんだろう?」「外貨って、米ドルやユーロ以外にはどんなものがあったかな?」「外貨投資って、リスクが高そう…」など、ネガティブなイメージを思い浮かべる方が多いかもしれません。一方で、昔と比べて投資信託などを通じ、日本に住みながら海外の金融商品に投資できる機会が増えました。既にお手持ちの金融資産の中で、外貨での投資を実施されている方もいらっしゃると思います。(SMBC信託銀行 合澤史登)

 私たちは日本で生活をしていますので、日常使っている通貨は日本円です。しかし、前回の記事で触れたように、長引くデフレの余波を受けた円資産の運用だけでは、リスクを取っても報われない可能性があります。また、日本の経済は為替相場の動きに大きく左右され、円資産だけに投資していた場合、円そのものの通貨価値の変動にさらされます。今の日本は低出生率に伴う人口減少が続くなど様々な要因を背景に他の先進国に比べて経済成長率が伸びない時期が続くなど、今後円の価値が損なわれる可能性が高まっています。そのため、資産の一定割合を常に外貨の資産で運用することには、大きな意義があります。

 今回は、資産運用の一つの方法として、「外貨投資」のメリットをお伝えできればと思います。

「外貨投資」により、投資の選択肢が広がります

 メリットの1点目として、投資できるファンドの選択肢の多さという点から外貨投資について説明します。例えば不動産やヘッジファンドなどオルタナティブ投資では、円建てと米ドル建ての投資可能なファンドの種類や数が格段に違います。それは、米ドルは世界の基軸通貨として盤石の地位を誇る通貨だからです。

 基軸通貨である米ドルを取引に利用している国・地域は多く、日本円を含む他の通貨に比べて米ドルの流通量が増し、外国為替市場において米ドルの取引シェアは7割近くを占めています(BIS調査、2016年10月時点)。そして、日常的に米ドルを使う人に向けた資産運用サービスを提供する会社は非常に多く、結果として円建てでは難しくとも米ドル建てでは投資が容易な資産が多く存在します。

複利効果は、資産運用に大きな影響を与えます

 メリットの2点目は、「マイナス金利政策が採用されている日本に比べ、アメリカをはじめ日本よりも高金利を維持している国が多い」ため、長期間での投資を考えた場合、相対的に低金利が続く円に比べそれらの外国通貨では複利効果が大きいということです。

 日本では、昨年2月に日本銀行がマイナス金利政策を導入し、その後、住宅ローン金利や預金金利は過去最低水準まで低下しました。私たちにとって、お金を借りるときは当然金利が低い方がよいのですが、逆に投資をする時にはこの低金利が資産運用の足かせとなりす。

 1000万円を複利運用したシミュレーションでは、年率5%の利回りで20年間複利運用をした場合の資産残高は2653万円まで増加します。一方、年率1%の利回りで同じ期間複利運用をした場合の資産残高は1220万円となり、その差は1433万円にのぼります。もちろん、高金利の背後にある投資のリスクを考え合わせる必要がありますが、複利効果の恩恵をより大きく受けるには、より金利の高い通貨で運用する方が望ましいと言えます。

 また、外貨で運用した後に外貨のまま使うのではなく最終的に円で使いたい、という方は将来の円高リスクを気にされるでしょう。その場合も、複利効果による資産の運用益の分だけ、投資の損益分岐為替レートが引き下がります。さらに、運用しているお金が余裕資金であれば、ご自身が納得できる為替レートに達するまで待って円に替えることもできます。

「外貨投資」についてリスク抑制という点からも考えてみましょう

 メリットの3点目として、リスク抑制という点から外貨投資を考えてみます。「米ドルで投資をすることは、日本円での投資に比べてリスク抑制効果を得やすい」と言われています。現在、米ドルは世界の基軸通貨として盤石な地位を築いています。そのため、一般的な傾向として、円建てで外貨資産に投資するよりも米ドル建てで外貨資産に投資するリスク(値動きの振れ)の方が小さくなるようです。つまり、米ドル建てでの投資は日本円での投資に比べて効率的に運用ができると言えるのではないでしょうか。

 では、これからは一歩進んで「外貨による分散投資」を考えてみてはいかがでしょうか。分散投資とは、特定の資産に偏らず、性質・内容の異なる多種の資産に投資することにより、リスクを抑えつつ一定水準の運用利回りを目指すことです。

 メリットの1点目で触れたように、円資産のみの運用に比べ資産の一部で外貨投資を実施することで、投資資産の選択肢が増えます。多様な投資ができるメリットを活かした分散投資の考え方を取り入れることで、さらにリスク抑制効果が得やすくなると考えられます。なお、日本の富裕層は資産保全や効率的な資産運用の観点から、平均して資産の30%程度を外貨で保有している方が多いという調査結果があります(Capgemini社による調査、2015年度版レポート)。

「外貨」について、少しずつ「土地勘」を広げてみませんか

 今回は、資産運用を行うにあたって外貨投資を実施する3つのメリットをお伝えしました。ただし、やみくもにいろいろな通貨に投資をすれば効果が得られるというものではありません。初めから理解できない通貨に飛びつくのではなく、まずはこれまで海外旅行で訪れたことのある国の通貨など、その国の人々や暮らしぶりがイメージできる通貨で小さい額から投資を行い、外貨に対する「土地勘」を少しずつ広げていくことをおすすめします。

 次回からは、いよいよ「外貨による分散投資」を行うための方法として、外貨建て商品の種類-外貨建て保険、外貨預金、外貨仕組み預金、そして、外貨建て投信など-について紹介していきます。

(※マネー講座は随時更新。次回も「外貨の活用」をテーマに掲載します)

【プロフィル】合澤史登(あいざわ・ふみと)

SMBC信託銀行プロダクト統括部 ポートフォリオ・ソリューション室
ポートフォリオ・アナリスト
中央大学法学部法律学科卒業。国内系信託銀行でバックオフィス業務を担当した後、銀行・運用会社で約10年間に渡り運用関連業務に従事。この間、金利・為替のインターバンク・ディーリング及びバランス型ファンドの運用などを担当。2017年2月より現職。