《外貨の活用》(4)〈外貨預金の運用〉資産価値と生活の安定へ

マネー講座

 今回は、外貨を持つ方法として「外貨の分散投資」をご提案し、これを実現するため基本となる外貨預金の活用方法についてご紹介したいと思います。これまでの連載でも繰り返し語られていますが、私はつねづね日本人であっても円だけということでなく、外貨を持つことが私たちの資産価値、ひいては日々の生活を安定させるために役立つと考えています。(SMBC信託銀行 遠藤絵美子)

基本の外貨預金

 外貨建て金融商品の中で最も身近なものが「外貨預金」です。銀行や信託銀行で外貨を購入すると、外貨普通預金や外貨定期預金として保有できます。外貨預金のメリットのひとつは円よりも高い金利です。身近な米ドルやユーロだけでなく、金利が比較的高いオーストラリアドルやニュージーランドドルの他、新興国の通貨も人気があります。

タイミングを悩まずコツコツと積み立て

 様々な国際情勢の影響を受ける為替相場を予測することはプロと呼ばれる人たちにとっても簡単ではありません。みなさんも円高のときには「もう少し円高になるかも」と思って中々踏み出せない、円安に動いたら「円安になってしまったので円高を待とう」と考えてしまったというご経験をお持ちではないでしょうか。また「忙しくていつ買えばよいか考えるのも面倒」という方もいるでしょう。そういう方へのお勧めが「自動積み立てタイプの外貨預金」です。

 毎月決まった日に決まった金額分(円ベースで)の外貨を自動で振替(購入)することができます。毎月の購入時点の為替レートが円高であれば多くの外貨を購入、円安時には少なく購入することになり、結果的に購入価格(購入時の為替レート)は平均化されます。この方法でしたらタイミングを悩まず購入することができ、経済効果としても理にかなっています。

 一般的に無理のない金額から始められることが多く、その点もメリットですので、次の海外旅行まで期間を決めて、旅行先の通貨を分割して購入していくことも旅行の楽しみの一つになるかもしれませんね。

 また、金融機関によっては、「このレートで外国通貨を買いたい、売りたい」とレートを指定した取引も可能です。これを指値(さしね)といい、自分で為替相場を見続ける必要がなく、タイミングを逃さず取引できるのが利点です。一方で、外貨預金には円貨ベースでの元本割れが発生するなどのリスクがありますので、商品内容を確認してください。

通貨交換の可能性がある好金利の仕組預金

 この他、通貨交換が行われるリスクをとることで運用できる「為替オプション付仕組預金」があります。あまりなじみがないかもしれませんが、為替オプション付仕組預金は通常の定期預金に為替レートや金利、払い戻し通貨などの条件を組み合わせた預金商品で、金利が通常の定期預金より高い点が魅力です。

 ここでは、為替オプション付仕組預金についてご説明します。為替オプション付仕組預金の例として、以下を条件とします。

 ・100万円を1カ月定期で預け入れ

 ・交換通貨:米ドル

 ・設定レート(通貨交換されるレート):110円

 ・金利:5.5%(期間1カ月=30日=の税引前年利率)

 まずは、金利を見てみましょう。2017年4月28日現在の当行の円定期預金金利(1カ月もの)は0.01%(税引前年利率)ですので上記例の為替オプション付仕組預金ですと約500倍の金利がつくことになります。

 次に、満期時の条件についてご説明します。為替オプション付仕組預金では、預け入れ時に通貨交換される時のレートである「設定レート」を決めます。満期時には以下の2つのシナリオのいずれかが発生します。

 (1)満期日の為替相場が「設定レート」の110円より円安の場合→通貨交換は発生しない

 (2)満期日の為替相場が「設定レート」の110円またはそれより円高の場合→設定レートで通貨交換が発生

なぜ、為替オプション付仕組預金は通常の定期預金より好金利なのか

 為替オプション付仕組預金の金利には、通常の定期預金の金利に加え、該当する為替オプションを売却したことによって得られる「プレミアム(オプション料)」の一部が含まれています。つまり、満期時に通貨交換する権利を売る(可能性を受け入れる)ことで得た金額(オプション料)が金利として上乗せされるのです。満期時に通貨交換が起こる可能性が高ければ高いほど「オプション料」は高くなります。

 為替が大きく動く時期や、通貨交換が起きるレート(設定レート)が取引時の為替レートに近いと、通貨交換が起きる可能性は高まる傾向にあります。

 円で預け入れる為替オプション付仕組預金は、以下のようなニーズのある方にお勧めの商品と言えるでしょう。

 ・資産の一部を外貨にしてもよいと考える方

 円で預けた仕組預金でも、条件次第では外貨に交換される可能性があります。ですので、今すぐに外貨が必要というわけではないけれど、外貨を持ち始めてみてもいいかなと考える方向けでしょう。

 ・もう少し円高が進んだら円を外貨にしてもよいと考える方

 為替オプション付仕組預金では円で預け入れる場合、満期時に通貨交換が起きる場合の為替レート(設定レート)は預入時よりも円高のレートとなります(「設定レート」を預入時と同じとすることもできます)。その際、お客様が設定レートをご自身で決定できる(例:預け入れ時点での為替レート:米ドル@111円→「設定レート」109円50銭)テーラーメード型のものもあります。金融機関によって商品性が異なりますので、ご自身に合った商品をお選びください。

 ・円高を待っている間に少しでも高い金利で運用してみようか、と考える方

 円で預けていても昨今ではほとんど金利はつきません。為替オプション付仕組預金なら円高を待っている間に高金利を享受できます。また、あらかじめ「外貨に替えてもよい」と思うレートを設定レートとして指定しておけば、仮に通貨交換が起きた場合でも納得のいくレートで外貨を保有することにもつながります。

 なお、為替オプション付仕組預金は通貨交換が発生する場合や為替変動リスクがあり、預入通貨ベースおよび円貨ベースで元本割れが発生する場合があります。各金融機関によって商品性が異なりますので、商品の特徴やリスクをよく理解したうえお取引を始めてください。

貯めるだけでなく、使うこともできる外貨

 さて、今回は外貨預金の種類と活用法をご紹介してまいりました。こうして貯めた外貨を外貨のまま使うこともできます。ハワイのATMでドル現金を引き出したり、パリで買い物をしてプリペイドカードで支払うなど、みなさんの銀行口座にある外貨預金をそのまま利用する手段も増えてきました。使うことまでを視野にいれることで、外貨を保有するメリットも広がりますし、円高の心配も和らぎます。これらについては、今後の連載の中で詳しくご説明していきたいと思います。

(※マネー講座は随時更新。次回も「外貨の活用」をテーマに掲載します)

【プロフィル】遠藤絵美子(えんどう・えみこ)

SMBC信託銀行商品企画部
上智大学法学部卒業。三菱東京UFJ銀にて市場関連業務に従事。シンガポール駐在時には法人顧客への為替営業を行う。2016年5月よりSMBC信託銀行で預金商品の企画業務担当