美容ブロガーに踊る中国人 米化粧品大手、ミレニアル世代争奪

提供:ブルームバーグ
上海のショッピングモールにあるエスティローダーの店舗で、口紅を試す女性客(ブルームバーグ)

 インターネット上でメークや美容のヒントを発信する有名ライフスタイルブロガーたちに触発されて、中国の10代後半から30代前半の女性たちは「トム・フォード」の585元(約9600円)の口紅や「ドゥ・ラ・メール」の8グラム1350元のイルミネーティング・パウダーをオンラインで購入する。

 ◆売上高の40%占める

 こうしたトレンドの恩恵を受けて、米化粧品大手エスティローダーでは、2017年第1四半期の中国での売上高が20%増加した。同社でアジア太平洋事業を担当するファブリス・ウェーバー社長は「かつて中国の女性はファンデーションやマスカラ、アイシャドーを使わなかった。しかし今では普通に使う。ミレニアル世代の人々は何の制約も感じずに、『人が目を見張るほど美しくなりたい』と思っている」と述べる。そして、その背景にはソーシャルメディアの力があるという。

 同氏によると、エスティローダーの中国での売上高の35~40%を18~30歳のミレニアル世代が占める。これは世界の他市場の平均と比べて高い比率だ。さらに特筆すべきなのは、彼女たちが同社の最も高級なブランドの主要購入者になっていることである。

 市場調査会社ユーロモニターの予測によると、中国における小売り化粧品の総売上高は、16年の43億ドル(約4757億円)から21年には74億ドルに拡大する見込み。これを後押しするのが、「微博(ウェイボー)」「優酷(ヨウク)」「愛奇芸(アイチーイー)」「土豆(トゥードウ)」といった中国のウェブサイトだ。女性たちはアイシャドーや頬のハイライトの入れ方など、あらゆるアドバイスを求めてこれらのサイトを活用するようになっている。

 微博で約65万人のフォロワーを持つ上海のブロガー、Annie_uuは、数日おきに自分の写真や化粧品、アクセサリー、休日のスナップ写真などを大量に投稿している。最近の投稿では、米アリゾナ州のグランドキャニオンを旅行したときに日焼け防止に使った「SK-IIフェイシャルトリートメントエッセンス」や、米女優、ジェニファー・ローレンスが宣伝に起用されているディオールの口紅を紹介。エスティローダーの香水「ジョー・マローン」を紹介した投稿では、「夏の香り。ロンドンにいる気分にさせてくれる」とコメントしている。

 ◆低いブランド忠誠心

 ブルームバーグ・インテリジェンスの小売りアナリスト、キャサリン・リム氏(シンガポール在勤)は「今や世界的な化粧品ブランドが先を争って中国に進出し、若い顧客を奪い合っている」と指摘する。同氏によると、より洗練されている日本や米国の同世代の顧客と比べて、中国のミレニアル世代はブランドへの忠誠度が低く、新しい商品を試すときに美容ブロガーの影響を受けやすい。

 エスティローダーの予測によると、中国市場での同社の化粧品の売上高は「トム・フォード」の口紅と「ジョー・マローン」の香水が好調なことを受けて急増し、今年度内に日本での売上高を追い抜く見通し。

 ウェーバー社長は「中国の女性たちはスキンケア中心の段階からあっという間に進歩した。今では香水や化粧品を大いに使うようになっている」と述べた。同氏が現職に就任した07年の時点で、エスティローダーの30のブランドのうち中国に進出していたのはわずか2ブランドだった。「それが今では16ブランドに増えた。ここには巨大なチャンスがある」と同氏は述べた。(ブルームバーグ Daniela Wei)

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