《投信を知る》(2)〈商品の選定ポイント〉世界経済の成長を享受する

投資講座

 前回は、投資の大原則として、運用商品の選定にあたっては「資金の色分け」を行ったうえで、資金使途に応じた「目的」、「期間」を明確にすることが重要であるとお伝えしました。今回はさらに一歩踏み込んで、運用商品の選定ポイントと、投資信託を活用することによるメリットについてご紹介します。(みずほ証券 石隈鉄太郎)

日本の株式パフォーマンスは長期的にもマイナスだった

 運用商品の選定ポイントをご説明するにあたって、まずは前回お伝えした「日本で資産運用が根付いていない」背景を掘り下げてみたいと思います。

 これにはさまざまな要因が想定されますが、最も影響を与えたのは、国内外の株式市場におけるパフォーマンス格差であると考えられます。図は、日・米・欧(独)における主要株式指数の長期的なパフォーマンス(1990~2016年)を計測したものです。この期間で、米国においては7.5倍、ドイツは8.2倍にまで拡大していますが、日本は0.8倍と、株式市場は低迷していました。

 つまり、単純に日本株で運用をしていても資産を増やすのは難しかったといえます。このような環境であったため、(主に日本株で運用していた)日本の投資家は資産運用による成功体験が少なく、追加投資や新規投資に対するモチベーションが醸成されにくかったと考えられます。

 では、日本の株式市場が低迷していたのはなぜでしょうか。これにもさまざまな要因が想定されますが、その理由の一つとして「経済成長の格差」が挙げられます。

株式市場と経済の関係

 国の経済規模を示す代表的な指標が「名目GDP(国内総生産、以下、GDP)」です。例えば、ある国のGDPが成長すれば、人々の所得は増え、消費への意欲は高まり、その国の企業も業績拡大が期待できるため、これを反映する形で株価も上昇します。

 それでは実際のデータを用いて、GDPの成長と株価のパフォーマンスの関連性についてみてみましょう。図は株式のパフォーマンス(1ページ目の図参照)と同期間(1990~2016年)でGDPが何倍になったのかを示しています。米国は2.7倍、ドイツは1.9倍であった一方で、日本は1.2倍となっており、日本は株価のみならずGDPも低調だったことが確認できます。このことから、国の経済成長と株価には大きな関係性があると考えられます。

 また、世界の経済成長を効率的に資産運用へ反映させるためには、単一国ではなく複数の国・地域に分散して投資する必要があります。これは資産運用の世界では国際分散投資と呼ばれており、世界の経済成長による恩恵を享受できるとともに各地域固有のリスクを分散・低減することで、運用効率を高める効果があります。

世界経済を予測しパフォーマンスにつなげる

 投資を行ううえでは、将来的に株価上昇が期待できるかを見極める必要があります。そのためには、前述の通り株価と関連性の高いGDPの動向を予想します。GDP成長率は、おおまかに(1)労働力人口(以下、人口)、(3)資本ストック(設備投資など)、(3)技術の進歩のそれぞれの増減率の合計として捉えることができます。例えば、人口が増加した場合、他の要素が一定であれば、その国の経済成長率は高まるということです。

 今回は、「人口の増加」に焦点を当ててご説明します。

 まずは人口増加がなぜ経済成長に寄与するのかを簡単に整理します。人口が増えると、それにともない個人消費が拡大し、その需要の高まりに対応するために生産活動が活発化します。人口が継続的に増えることでこの好循環が続き、GDPの拡大が期待できるのです。

 ニュースなどでも頻繁に耳にしますが、日本は少子高齢化が問題となっており、人口は減少傾向にあります。一方、世界全体に目を向けると、2016年に約74億人の人口が、30年には85億人とおよそ15%も増加すると予想されています。これを踏まえて、OECD(経済協力開発機構)が発表している世界経済予測をみると、日本のGDPは16年から30年で約20%しか成長しない一方で、世界の経済規模は約57%も成長すると見込まれています。

 短期的には日々のイベントやニュースによって株価は大きく変動する場面もあると思います。しかしながら、長期的には、上記のように国の経済成長や企業の成長率など、企業業績の根幹となる部分(ファンダメンタルズ)を反映した本質的な価値に収れんしていくものと考えられます。したがって、長期的な目線で考えた場合には、人口増加にともなう経済成長を背景として、世界の株式は上昇していくことが期待されます。

世界経済の成長を享受するために投資信託を活用

 では、どのようにして世界の株式に投資を行えばよいのでしょうか。一つの手段として、自ら個別銘柄を選別して投資を行うことがあげられます。しかし、その場合はさまざまな国・地域および企業に関する情報収集や投資判断、分散投資を行うための多額の資金が必要となるなど、実際に投資を行うにはいくつかの課題が生じます。

 そこで、もう一つの手段として投資信託の活用が考えられます。投資信託は、複数の投資家から集めた小口の資金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式などへ投資を行う金融商品です。そのため、投資に関する情報収集や投資判断といった負担が大幅に軽減され、少額でも世界の株式に投資を行うことが可能といえます。

 また、一部の新興国株式市場などでは個人投資家の参入が制限される場合もありますが、投資信託を活用することで投資可能となる市場も存在します。

 先ほど、長期的な視点で考えることの重要性をお伝えしました。投資信託は、運用の専門家が皆さまに代わって投資に関するメンテナンスを行いますので、長期の投資を行ううえでもメリットがあると思われます。投資信託を通じて世界の株式へ投資することが、皆さまの資産形成における有効な選択肢といえるのではないでしょうか。

(※投資講座は随時更新。次回も「投信を知る」をテーマに掲載します)

【プロフィル】石隈鉄太郎(いしくま・てつたろう)

みずほ証券リテール・事業法人部門商品企画部次長
2002年新光証券(現みずほ証券)入社。支店営業を経て、04年より投資信託関連業務に携わり、旧DIAMアセットマネジメント(現アセットマネジメントOne)や旧新光投信(同)への出向等を経て、16年より現職。現在では、投資信託を中心とした幅広いプロモーションに従事。

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