教育無償化「良い政策」 英ロンドンビジネススクールのスコット教授、財源に国債問題ない

衆院選
アンドリュー・スコット英ロンドンビジネススクール教授

 安倍晋三政権の看板政策「人づくり革命」構想の基になった「ライフ・シフト」共著者の一人、アンドリュー・スコット英ロンドンビジネススクール教授が産経新聞に寄稿し、自民党が衆院選公約に掲げる教育無償化を「良い政策だ」と評価した上で、財源に国債を充てても問題ないとの考えを示した。人口減を踏まえ、政権は1人あたり国内総生産(GDP)を重視する経済政策へ転換すべきだと提言した。

 (政府・与党は)幼児教育の無償化や大学教育の負担軽減を訴えている。教育は人生や経済的な豊かさに素晴らしい影響を与えるのでともに良い政策だ。ただ(経済状況などで異なる)より多くの人たちに教育機会を与える効果は幼児教育のほうが強い。大学教育は(人材輩出を通じ)経済を後押しする効果がある。

 日本は多額の公的債務を抱えているが、低金利でもあり、国債を無償化の財源にしても問題ないだろう。教育を受けた人が将来、高い収入を得るようになれば税収が増え、国債の償還に充てる財源になる。

 考えなければならないのは、人生の全過程にわたる教育の重要性だ。40~50代の人々を再教育し、次の20~30年の人生で高い生産性を発揮できるようにする必要がある。

 その重要性は頭脳労働者だけでなく、(技術革新などで生まれる)新分野に移る肉体労働者にも当てはまる。政府も民間企業も、人生後半での学び直し教育に(資金などの)資源を投入することが重要だ。

 一方、安倍政権は名目GDP600兆円を目標に掲げている。ただ国民の生活水準を高める上で、経済学者の大半は経済全体の規模をとくに重視していない。重要なのは国民一人一人の生産性を上げることだ。(個々の生産性は)人口減の悪影響を受けない。日本政府は経済全体の成長でなく、1人あたりGDPに焦点をあてた政策へ変えるべきだ。

 人口減より問題なのは、現役世代を示す生産年齢(15~64歳)を超えた高齢者が多くなっていることだ。高齢でも働く意志があり、生産性の高い労働者を労働市場に確保することが重要だ。そのためには、高齢者でも働けるように職場を変えなければならない。ロボット工学を活用し、高齢者が肉体的な労働負荷に耐えられる技術を導入していく必要もあるだろう。