野党再編で連合内に亀裂 「割れた方がすっきりする」

衆院選
開会した連合の定期大会=4日午前、東京都千代田区

 小池百合子東京都知事の希望の党や、枝野幸男氏の立憲民主党の誕生で、民進党は事実上の解党状態に陥った。九州でも野党のドタバタ劇のあおりを受け、民進党最大の支持組織、連合(日本労働組合総連合会)内に亀裂が走った。(中村雅和)

 「出馬を断念します」

 4日朝。希望の党公認で宮崎1区から出馬予定だった元職、道休誠一郎氏(64)から、連合宮崎に連絡があった。

 道休氏は、旧民主党で衆院議員を1期務めた。希望の党が3日に公表した1次公認に名を連ねた。

 ところが同日、民進党県連が道休氏を支援しない方針を打ち出した。連合宮崎も同じ姿勢だった。

 道休氏は党組織、そして支持団体から突き放された。道休氏の元秘書であり、民進党から宮崎2区で出馬を目指していた新人、富井寿一氏(35)も、同様に取り下げの可能性が浮上している。

 宮崎の民進党、連合が反対に回ったのは、中山成彬元文部科学相の存在が大きい。中山氏は、希望の党の“九州代表”を任じ、候補選定に強く関与した。

 連合宮崎の佐藤真会長は「中山氏は国土交通相時代、日教組解体を唱えており、組合員のアレルギーが強い。特に、官公労は『絶対に支援できない』とのスタンスだ」と語った。佐藤氏は延岡市職員労働組合の出身だ。

 民進党宮崎県連の関係者も「道休氏が中山氏と連携する姿勢を見せたので、支援できないと伝えた」と話した。

 公示まで1週間を切った。民進系候補が不在となれば、選挙区で連合票は漂流する。

 佐藤氏は「今さら新しい人の擁立は厳しいだろう。連合として選挙にどう臨むか、極めて難しい問題だ」とぼやく。

 ただ、道休氏が出馬を断念したのは、党と連合が三くだり半を突きつけたからだ。この結果に、特に民間労組は、やるせない思いを抱く。

 旭化成労働組合延岡支部の田之上辰己支部長は「前回の衆院選(平成26年)でも、宮崎2、3区の野党候補は共産党だけだった。早くから準備をしてきた。残念としか言いようがない」と声を落とした。

 希望の党は4日、2次公認として宮崎1区に元参院議員の外山斎氏を、同3区に花輪智史氏を擁立すると発表した。

 両氏の選定には、中山氏の意向が働いた。このため、民進党宮崎県連や連合宮崎は、支援に消極的とみられる。

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 今回の野党再編は、民進党左派を選別・排除する形で進んだ。宮崎のケースは、左派の巻き返しだといえる。

 九州・山口で、希望の党からの出馬を模索したある地方議員には、取り下げるように激しい電話攻勢があったという。

 野党再編は、民進党を支援してきた労働組合の再編を招く。特に公務員が所属する官公労と、民間労組の溝は深まる。

 自治労福岡県本部の坂田邦宏書記長は「政策面は、立憲民主党の方が近いと感じる。最終的には連合福岡の決定に従うが、投票先について、連合内で主張すべきは主張する」と語った。

 一方、電機連合福岡地方協議会の担当者は「立憲民主党の候補のために動くことは、心情的に難しい」と打ち明けた。

 左右両派の温度差が広がる中、連合という組織そのものに懐疑的な声も上がる。ある民間労組関係者はこう語った。

 「労働政策や社会保障分野では官公労とも共闘できる。しかし、彼らは安保や憲法などで非現実的な主張を繰り返す。そこは一本化できない。今回の選挙をきっかけに、割れた方がすっきりするよ」

労働組合 分裂と再編の歴史

 戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が民主化政策として、労働組合の結成を促進した。労働運動が活発となり、共産党系の全日本産業別労働組合会議などが力を持った。GHQはその後、日本の共産主義化を懸念する。昭和22年2月の「2・1ゼネスト」計画では、中止を命じた。

 25年7月、非共産党の「日本労働組合総評議会(総評)」が誕生。だが、総評は朝鮮戦争以後、反米容共路線に転じた。

 これに反発する動きが、39年11月の「全日本労働総同盟(同盟)」結成につながる。

 総評は社会党を支持し、同盟は社会党右派が離党してできた民社党(35年1月結党)を支持した。

 50年代以降、総評と同盟の統合の動きが始まった。62年11月、総評内の民間労組と、同盟などが全日本民間労働組合連合会(民間連合)を結成。平成元年11月に官民が合流した日本労働組合総連合会(連合)が生まれた。

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