戦後2位に並んだ景気拡大期間も、実感なき回復いつまで… 来年以降、賃上げ加速?

 
東京・銀座の衣料品店で買い物をする女性。景気拡大が続くが実感は乏しい(ロイター)

 足元の景気拡大が戦後2番目の長さに並ぶことが事実上確定し、次は平成14年に小泉純一郎政権下で始まった戦後最長の「いざなみ景気」(73カ月)を抜くかが焦点だ。ただし今回の景気拡大でも、いざなみ景気と同様、賃金の伸びが鈍く、国内総生産(GDP)の成長率も力強さを欠いているとの指摘は多い。一方、来年以降に賃上げが加速するとの見方もあり、アベノミクスの恩恵が広がることへの期待も出ている。

 「日用品の売価は下がり続けている。『いざなぎ景気超え』の実感はない」。4日のイオンの29年8月中間連結決算会見で、中核子会社イオンリテールの岡崎双一社長はこう語った。

 日銀が6日発表した9月の「生活意識に関するアンケート調査」でも、暮らし向きに「ゆとりが出てきた」と答えた人はわずか7.3%。前回6月調査の5.9%から改善したが、1割を下回る低水準だ。

 一方、各種の経済指標は第2次安倍晋三政権が発足した24年12月以降、「アベノミクス」の大規模な金融緩和策の効果などで大きく改善した。発足当時、1万円前後だった日経平均株価は6日の終値も2万円の大台を突破。8月の有効求人倍率は1.52倍で、43年5カ月ぶりの高水準を維持している。

 それでも「回復の実感がない」といわれる理由について、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「賃金が伸びず、景気実感に近い名目GDPの成長率も高くないからだ」とする。実際、名目賃金の平均月額の前年比伸び率は24~28年の間、一度も1%に達していない。これはいざなみ景気下でも同様の傾向だった。また28年の名目GDP成長率は1.3%にすぎず、7%台で推移したバブル期などから見劣りしている。

 背景の一つとみられるのが企業の慎重姿勢だ。上野氏は「いざなみ景気は10年ごろの金融危機の直後で、銀行や企業の破綻が相次いだ。企業はお金を賃金に回すより(危機に備えて)蓄えることを優先した」と指摘する。足元も2008年のリーマン・ショックなどの経験から、労使のリスク回避姿勢が強まり、「生活防衛のための消費者の節約志向が継続」(イオンの三宅香執行役)している。

 ただ、来年以降は「回復の実感」が強まるとの見方も出ている。三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「円安の加速で企業業績が回復しており、来年春闘の賃上げ率は(連合集計で2%を下回った)今年を上回るのでは」と予想する。

 この結果、消費が増えれば企業の業績向上やさらなる賃上げ、物価上昇につながり、安倍政権が目指すデフレ脱却も現実味を帯びてきそうだ。(山口暢彦)

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