パキスタン、2025年までに絶対的水不足 低い利用効率と政治の無策

 
井戸でくんだ水を運ぶ女性たち。パキスタンは地下水の水質に関する懸念も浮上している=北部ラワルピンディ(AP)

 パキスタンは、近い将来に大規模な干魃(かんばつ)状態に陥る恐れがある。パキスタン水資源調査評議会(PCRWR)は、同国が2025年までに「絶対的水不足」の状態となる可能性があると警告した。現地紙エクスプレス・トリビューンなどが報じた。

 国連は、国民1人当たりの使用可能な年間水量が1700立方メートルを下回る状態を「水ストレス」、1000立方メートルを下回る状態を「水不足」、500立方メートルを下回る状態を「絶対的水不足」と定義している。

 PCRWRによると、パキスタンの国民1人当たりの使用可能な年間水量は、1951年には5260立方メートルだったが、2010年には1100立方メートルまで減少した。1990年に水ストレス、2005年に水不足の状態に入ったという。

 同国の水需要は、25年までに274MAF(MAFは100万エーカー・フィート、1AFは約1234立方メートル)となる見通しだ。PCRWRは、現状では供給が現在の191MAFにとどまる可能性が高く、同年までに不足分が83MAFに達するかもしれないと予想した。

 パキスタンは主要水源をインダス川に依存しており、降水量も減少傾向にある。PCRWRはこうした要因に加え、低水準にとどまる利用効率が水事情をさらに悪化させていると分析する。同国で水の消費が最も多い産業は農業で、水資源の9割を利用しているが、漏水などにより実際に農地に届いているのはこのうち3~5割ともされる。PCRWRは、他の産業や家庭により多くの水を回すには灌漑(かんがい)設備の拡充による利用効率の改善が欠かせないと指摘した。

 また、政治の無策が事情を悪化させているとの意見も上がっている。専門家は「国内には大規模な貯水施設が一つもなく、1960年代以降、新しいダムも完成していない。貯水能力が30日分しかないのは問題だ」と述べ、政治主導での状況改善が急務だとの認識を示した。(ニューデリー支局)

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