比、マニラの最低賃金50円引き上げ 労働者の生活苦解決には足りず

 
フィリピン・マニラ首都圏の建設工事現場で研磨作業中の労働者(ブルームバーグ)

 フィリピンは、マニラ首都圏の最低賃金が引き上げられた。マニラ首都圏・地域賃金生産性委員会(RTWPB-NCR)が、今月から1日当たり21ペソ(約50円)の引き上げを決定した。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。

 最低賃金の引き上げは昨年6月以来で、今回の引き上げにより、マニラ首都圏の1日当たり最低賃金は、非農業分野で512ペソ、農業分野と従業員15人以下の小売り・サービス業、同10人未満の製造業が475ペソとなる。

 フィリピン米国商工会議所の幹部は引き上げについて、同会議所の加盟企業のほとんどが引き上げ後の最低賃金を上回る金額を支払っているとし、直接の影響はないとの認識を示した。

 一方で同幹部は「東南アジア地域内でもベトナムなどいくつかの国はフィリピンよりも人件費を含むコストが低い。そうした国々と競争するのか、あるいはそうした国々の製品を輸入するのか、フィリピンの立場が明確でないように感じる」と述べた。フィリピン政府は、より競争力を高める政策を打ち出す時機にきているとの見解だ。

 フィリピン雇用者協会は、経営者と労働者の双方に不満が残る決定だと批判的だ。同協会の幹部は、マニラ首都圏の最低賃金が引き上げ前の段階で東南アジア地域内でもトップクラスだったとし「今回の引き上げは25%の労働者にしか反映されず、残りは恩恵を受けられないどころか、物価上昇でさらに苦労することになる」と述べた。

 また、同国の代表的な労働組合であるフィリピン労働組合連合(ALU)は184ペソ、フィリピン労働組合会議(TUC)は259ペソの引き上げを要求していたこともあり、今回の引き上げには不満を示している。

 ALUの代表者は「今回の引き上げは率に換算すると4.3%にすぎず、これでは労働者は生活苦から抜け出せない。ここ数年の平均6.9%成長に貢献した労働者はもっと報われてしかるべきだ」と述べた。

 ALUは今回の引き上げを受け入れたうえで、1人当たり月500ペソの助成金支給を求めていく方針だ。(シンガポール支局)