カタルーニャから企業脱出 独立めぐる混乱恐れ拡大の動き

提供:ブルームバーグ
テレビ演説で独立に向けた国際的な調停を要請するカタルーニャ自治州のプチデモン首相=4日、バルセロナ(AP)

 スペインからの独立の是非を問う住民投票の結果を受け、独立宣言を採択する構えを見せている北東部カタルーニャ自治州とスペイン政府との緊張が高まる中、同州に拠点を置く企業の間に、政治的混乱の影響を恐れ脱出を検討する動きが広がり始めた。

 同国株を代表するIBEX35指数構成銘柄の一つで同州の州都バルセロナに拠点を置く製薬企業オリソン・ヘノミクスは3日、上場企業では初めて同州からの脱出計画を発表した。マドリードに移転する。

 同社取締役会は「業務運営と投資家との関係を最適化するため」、バルセロナから登記を移すことで合意したという。発表翌日の同社の株価は一時33%上昇。カタルーニャの独立をめぐる政治の不透明感から逃れようとする企業を投資家が歓迎していることを示唆した。同州に本拠を置く企業が政治情勢の緊迫化に備える中、オリソンの動きは企業の不安が高まっていることをうかがわせた。

 他の企業も同社への追随を検討している。関係者によると、IBEX35指数構成銘柄でカタルーニャに拠点を置く7社のうち少なくとも1社は、緊急対応策を準備。最終判断の具体的な状況は明確ではないという。また、少なくとも別の1社は、住民投票の数週間前からシナリオを検討している。

 スペイン紙ムンドは同指数構成銘柄の一つカイシャバンク取締役会関係者の話として同行がバルセロナから西地中海にあるバレアレス諸島自治州に本部を移転することを検討していると報じた。カタルーニャを拠点とするサバデル銀行は5日、本拠地変更を検討する臨時取締役会を開くと発表した。バレンシア州への移転を検討するという。

 カタルーニャ州のプチデモン首相は4日夜のテレビ演説で、独立に向けた仲介交渉の用意があると繰り返し、独立に向けた国際的な調停を改めて要請。賛否を問う1日の住民投票に法的正当性がないと非難した国王フェリペ6世を批判した。一方で、独立を宣言するかどうかやその時期について明言を避けた。マドリードの中央政府との対立で同州が最終的に切るカードをめぐる不透明感がさらに続くことになる。同首相は州政府が住民投票の結果をすぐに適用すると述べたが、スペインからの独立手続きをいつどのように開始するかには言及せず、時間を稼いだ格好だ。

 スペインのラホイ首相は、投票を阻止するために警官隊を投票所に突入させるなど強硬策に訴え、大規模なデモにつながったが、こうしたアプローチに党派を超えた政治的支持を求めている。今後はカタルーニャ州の自治を停止し、マドリードの中央政府による直接統治に踏み切る可能性もある。(ブルームバーグ Rodrigo Orihuela、Charles Penty)