米空軍、部隊縮小に予算削減…「即応態勢に深刻な影響」 空軍長官が講演で訴える

 
米空軍のB1戦略爆撃機(中央の2機)と航空自衛隊のF15戦闘機(航空自衛隊提供)

 【ワシントン=黒瀬悦成】ウィルソン米空軍長官は5日、ワシントンの政策研究機関で講演し、空軍の現状について、保有機数や部隊が縮小され、予算も削減される一方、中東などでの作戦行動が飛躍的に増大したことで、有事の際の即応態勢に深刻な影響が出ており、「即応能力を早急に回復しなければならない」と訴えた。

 ウィルソン氏によると、空軍は冷戦直後の1991年当時、134の戦闘飛行隊を擁していたのに対し、現在は55飛行隊に減少。その上、「戦闘機のパイロットは必要数を1500人も下回っている」とした。

 一方で、空軍はシリアやイラク、アフガニスタンでのイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)などの空爆作戦などにより、冷戦期に比べてはるかに活発に戦闘行動を展開しており、「いついかなる戦いに勝とうにも、能力は精いっぱいになるつつある」と警告した。

 同氏はまた米連邦予算に関し、9年連続で年度内に議会の歳出法案が成立せず、継続予算決議を可決して前年度水準の支出を当面確保することを繰り返していると指摘。このため、仮に歳出法案が成立せず予算の強制削減が発動された場合、空軍は150億ドル規模が削減され、作戦機をまともに飛ばすこともできず、「米国の安全保障上の重大なリスクとなる」と危機感を表明した。

 米空軍は今月、60歳未満で過去5年以内に退役した大尉~中佐のパイロットについて、再び現役として迎え入れる期間限定の制度を始めたと発表するなど、パイロットの充足率向上に向けた取り組みを本格化させつつある。

 しかしウィルソン氏は「空軍の現状は、徐々に水が熱くなっているのに気付いていない『ゆでガエル』と同じだ。(危機的)状況が常態と化しつつあるが、このままでは空軍は崩壊する」と強調した。

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