人民元下落、7年間訪れず 中国弱気派ヘッジファンド 悔悟の日々

提供:ブルームバーグ

 ヘッジファンド運営会社コリエンテ・アドバイザーズの創業者で運用者のマーク・ハート氏は中国人民元の大幅下落を待ち、7年の歳月と2億4000万ドル(約270億円)を費やした。

 眠れなくなり、顧客を失い、正気も失いかけた。

 そのハート氏がついに、これまでの考えを捨てた。中国は元を50%余り切り下げるべきだと昨年主張した同氏が、同国とその通貨に対して強気な見方に転じた。

 方針転換は容易ではなかった。米テキサス州フォートワースを本拠とする同氏は、夜間に香港に電話をかけ、金融市場に関するニュースや為替相場を分析する日々を過ごしてきた。

 ハート氏は「私は常に、リスクを負えば応分に報われる取引を行ってきたと考えていた。だが時期尚早であったことを含め、われわれは相当多くミスをした。今や世界は変わった」と述べた。同氏は過去に、米国のサブプライム住宅ローン危機や欧州の債務危機を予想し的中させている。

 ハート氏は今では冷静に、昨年の上海での20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が重要な転換点だったと振り返る。多くの投資家同様に、首脳会議で人民元の大幅下落を阻止する暗黙の合意ができたのではないかと疑っている。

 そうした合意があったかどうかは別として、中国当局は為替レートの安定に明らかに成功している。人民元は昨年12月に3年に及んだ下落局面を終えると、今年これまでに6%余り値上がりした。結局、ハート氏が見込んでいたような元急落は09年の取引開始から一度も起こらず、同氏は2億4000万~2億5000万ドルを失った。

 ハート氏は潮目が変わり、中国に追い風が吹いたとみている。同国が自国を世界の金融システムに着実に統合させようとする中で、海外の中央銀行や機関投資家は人民元の保有を拡大、貿易面の主要地域との関係も強化されてきたからだ。海外資産の買収を制限するなど、当局による資本規制も非常に効果的だったと同氏はみている。少なくとも今は、人民元取引の予定はないという。(ブルームバーグ Saijel Kishan)

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