英転出コスト、各行5億ドル超 高度の人材不足、想定上回るEU離脱影響

提供:ブルームバーグ
ロンドンにある英銀大手HSBCの本社(ブルームバーグ)

 英国の欧州連合(EU)離脱に伴い銀行が数百人の従業員を大陸に移す場合の費用が1行当たり5億ドル(約564億円)を超えることが分かった。各行の計画について知る複数の関係者が試算した。ロンドン在勤の従業員が異動を渋っていることや大陸の都市での経験豊富な行員の不足などで、コストが想定以上に膨らむという。

 プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のパートナーで報酬専門家のジョン・テリー氏は「銀行の当初想定よりコストが大幅に膨らむことは確かだ。EU市場内に資格を持った現地人材が銀行の需要を満たすほどにはいないので、コストの高い人材を他の場所から異動させるしかない。しかも、その多くは異動を望んでいない」と分析した。

 銀行はロンドン在勤の行員を移すために住居費から子供が通う私立学校の学費、その他の手当を含む高額のパッケージを用意しなければならないかもしれない。テリー氏は、英国内で100万ポンド(約2億2200万円)を稼ぐ従業員をパリかフランクフルトに異動させる場合、所得税その他の費用を考慮すると軽く150万ポンドが必要になると試算している。

 関係者によると、2019年4月までに数百人をEU内の新オフィスに移すには、人件費だけでも最大1億ドルがかかる。そのほか、新本拠を設立するための法的手続きやシステムの費用、設備投資もあるという。

 コストを明言する銀行はあまりないが、英銀大手HSBCは7月に、1000人をパリに移す費用は最大3億ドルとの見積もりを示した。同行は既にパリにフル免許を持つ現地子会社がある。(ブルームバーグ Gavin Finch)