トランプ大統領、オーナーとしての税優遇で恩恵 ゴルフ場の税制度に改革の手つかず

提供:ブルームバーグ
トランプ米大統領が所有する会社、トランプ・オーガニゼーションが運営するゴルフ場でパットを練習する女性ら=米ニューヨーク州ブライアクリフマナー(ブルームバーグ)

 米共和党議員は税の抜け穴の多くをふさごうとしているが、トランプ大統領に有利な穴が手つかずのまま残されている。それはゴルフ場の税優遇措置だ。

 10年6億ドルの財源

 ゴルフ場の所有者を優遇する税制措置は、下院共和党の税制改革法案になお盛り込まれている。オバマ前政権は2014年、議論の的になっているこの抜け穴をふさげば10年間で6億ドル(約680億円)の税収確保につながるとの推計を示した。

 共和党は多くの税控除廃止に動いているが、下院の税制改革法案ではゴルフ場オーナーはコース保全を確約すれば控除を受けられる。トランプ氏が所有する会社、トランプ・オーガニゼーションは米国に十数カ所のゴルフコースを所有している。

 ゴルフ場オーナーへの税控除は、トランプ大統領に関連する事業が下院共和党案の下でいかに恩恵を受けるかの一例にすぎない。商業用不動産への融資の支払い利息も、多くの場合で引き続き控除対象となる方向だ。

 ニューヨーク大学のダニエル・シャロビ教授(税法)は「商業用不動産業界はこの改革案を見て『好ましい』と言うだろう。トランプ大統領は納税申告書を開示しないようにしているが、改革案がトランプ氏にとって非常に大きなプラス要素であることは明らかだ」と指摘した。

 7日に政府関係者が民主党上院議員と会談した際に、トランプ氏は韓国のソウルから電話で、法案の可決に向けて取り組むよう呼び掛けた。米紙ワシントン・ポストが関係者の話として報じたところによれば、トランプ氏は「経理担当者の話では同法案の可決によって自分が被る損失は大きい」と強調したという。

 また、トランプ氏は韓国国会での演説で、同国のゴルフ選手の功績を褒めたたえる一方、自身が所有するニュージャージー州のゴルフ場についてもアピールした。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によれば、同氏はニュージャージー州ベッドミンスターのトランプ・ナショナル・ゴルフクラブやパーム・ビーチにある高級プライベートクラブ「マール・ア・ラーゴ」といったゴルフリゾートなど少なくとも4つの資産で税優遇の恩恵を受ける。

 過去にも特にゴルフ場の税控除は共和党・民主党の両陣営における調査の対象となってきた。オバマ前政権は少なくとも3年間にわたり政府予算に税控除の規制を盛り込んだ。フレーク上院議員(共和、アリゾナ州)は税控除対象のゴルフ場のリストを報告書にまとめている。

 受け取り控除額莫大

 税優遇措置は有意義であるとの見方もある。環境保護団体、ランド・トラスト・アライアンスのシルビア・ベイツ氏は、唯一の利用可能なオープンスペースがゴルフ場程度しかないコミュニティーにおいて、「私有地の開発を永久的に規制する保全地役権がなければ、土地所有者は最高入札者に売却したい衝動に駆られ、ひいては宅地造成につながる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 しかし、オバマ政権時代に財務省で保全地役権を担当していた税務弁護士のルース・マドリガル氏は「実際に土地の保存価値に対してゴルフ場の所有者が受け取る税控除額は莫大(ばくだい)だ。開発業者は住宅と同時に近隣にゴルフ場を建設して保全地役権を獲得することで、全ての開発事業を対象に税控除を受けられる」と指摘する。

 一方、01~08年まで米上院財政委員会に従事した米アライアント・グループの税務弁護士、ディーン・ザーブ氏は「ゴルフ場所有者の税控除は合理的ではあるものの、実現は難しい」とみる。「下院委員会にとって今後10年間にわたる減税による数兆ドル規模の損失埋め合わせが課題であるが、ゴルフ場に関わる規則改正に要する時間はこれに伴う増収効果に見合わない恐れがある」と分析した。(ブルームバーグ Dan Wilchins、Prashant Gopal)

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