【ルピーの世界】インド 牛乳が足りなくなる!? 乳牛を食用で高値売買 (1/3ページ)

2010.3.8 05:00

インドでは宗教上の理由から牛は神聖視されている。解体業者などによる不正な牛の解体は国全体を揺るがす恐れもある(ブルームバーグ)

インドでは宗教上の理由から牛は神聖視されている。解体業者などによる不正な牛の解体は国全体を揺るがす恐れもある(ブルームバーグ)【拡大】

 世界最多の乳牛を抱えるインドで、将来的に牛乳が足りなくなる“牛乳危機”が叫ばれ始めた。酪農農家が乳牛を肉牛として食肉業者に売り渡すほうがもうかるという現象が起こっているためだ。インドの大半の州では牛の解体が禁止されているが、政府による食品の輸出奨励政策で潤う解体業者などによる不正な解体が横行しているという。インドでは天候不順の影響で農産物が打撃を受け食料品価格が高騰しているが、牛乳不足は食料インフレに一段と拍車をかける可能性がある。

低い生産効率

 ニューデリー南部のRKプラム地区。デリー首都圏で乳製品最大手のマザー・デリーの店舗はいつも朝からにぎやかだ。

 インドの一般家庭では、販売店から購入した牛乳を家庭でいったん沸騰させる。そして、沸騰で浮いた脂肪分を使って菓子やギー(澄ましバター)を作る。残った牛乳はヨーグルトに使われたり、紅茶やコーヒーに入れて飲用されたりする。販売店店主のオンビール・シン・チョードリー氏は「私のような紅茶愛飲者に牛乳は欠かせない」と語る。

 インド農業省畜産・酪農・水産局によると、2007年度の牛乳生産量は1億480万トンで、ここ数年は米国を抜いて世界1位の座にある。国内に生息する牛も1億8520万頭、水牛は9790万頭で世界トップ、アジアのウシ属全体の51%、世界の19%を占める。だが、牛乳生産効率は高くなく、国民1人に行き渡る牛乳の量は1日256グラムと、世界平均の約285グラムを下回っている。

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