【論風】みずほ信託銀行社長・野中隆史 新財務報告基準への対応 (1/2ページ)

2010.3.17 05:00

 ■経営者の意識改革も必要

 今年度から任意適用が開始し、早ければ2015年にも強制適用となるIFRS(国際財務報告基準)。準備を進めている企業も多いと思うが、「ムービングターゲット」といって、日本における強制適用までの間に、IFRSそのものが大幅に見直される可能性があるから厄介である。準備を進めようにも基準そのものが動いてしまうのだから、導入の大きな障害となり得る。

 ◆拡大する包括利益の変動幅

 IFRSの強制適用に対応するには、見直しに関する情報を正しく、そしてより早く入手し、十分な準備期間を設けることが肝要である。また、IFRSの特徴の一つに原則主義というものがある。会計処理の原則が規定されているだけで、重要性を判断する数値基準などの規定がないのだ。IFRSに沿った処理をしているかどうかについては、企業、すなわち経営者の判断が問われることになり、経営者の意識改革も必要である。

 IFRS導入で大きく変わるものの一つとして、「利益」のとらえ方が挙げられる。これまでの「利益」の考え方は収益から費用を控除する収益費用アプローチであったが、これからは資産から負債を控除した純資産の増減を利益として表示する資産負債アプローチとなる。これが「包括利益」の考え方である。昨年末、包括利益に関する公開草案が公表され、いよいよ日本でも始まる。11年3月期、つまり3月期決算の企業はこの4月から始まる期の期末から、連結および個別財務諸表で開始となる予定である。適用初年度には前期、つまり3月期決算の企業は今期の包括利益の開示も必要になるので注意が必要だ。

 株式などのリスク資産を保有することは包括利益の変動の幅を大きくすることになり、このようなリスク資産は削減すべきだとの考えから、株式の持ち合い解消が進む。当社では「有価証券処分信託」や「議決権留保型有価証券信託」を用意し、保有株式の売却におけるマーケットインパクトを抑えたり、持ち合い先の議決権行使に一定期間配慮したいという企業ニーズに応えていく。

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