2010.7.21 09:07
米国が戦後最悪の雇用不安に見舞われている。失業率は9%台に高止まりし、長期失業者が続出。大型景気対策にもかかわらず、民間は新規雇用に及び腰だ。金融危機を経て経済成長率は緩やかなプラス成長を続けているのだが、このままでは、「ジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)」から、「ダブル・ディップ(景気の二番底)」に陥る恐れもある。(ワシントン 渡辺浩生)
6月の米雇用統計は、市場関係者を落胆させた。
失業率が前月の9・7%から9・5%に低下したのは、労働力人口が前月から65万2千人も縮小したせいだったからだ。働き口が見つからずに職探しをあきらめて労働市場から撤退する者が続出している実態を、かえって浮き彫りにする結果になった。
米国は戦後最長の景気後退からひとまず脱却し、国際通貨基金(IMF)の最新見通しによると、経済成長率は昨年のマイナス2・4%から今年は3・3%に回復して、来年も2・9%の緩やかな成長を維持する見込みだ。主要企業の業績も軒並み改善している。
なぜ、労働市場の回復が遅れているのだろうか。
米シンクタンク、ヘリテージ財団のジェームズ・シャーク研究員(労働経済)は「レイオフ(一時解雇)は景気後退以前の水準に戻りつつあるが、民間の新規雇用が低水準のまま回復していない」と指摘する。
民間企業が新規雇用に及び腰になる最大の理由は、欧州の財政危機によって世界経済の先行きに不安感が広がっているからだ。米企業は過去最大水準の1・8兆ドルの現金を抱える半面、雇用創出につながる設備投資は手控え、景気後退以前の水準に戻っていない。
一方、州や地方政府は深刻な財政危機に見舞われ、教員など公務員の大量解雇も全米で相次いでいる。