このようなびっくり仰天のスローガンが国中で掲げられたことからは、およそ2つのことが読み取れるだろう。
その一つは警察への襲撃が実に多発していること、もう一つは、一般の人々の感覚において、警察を襲撃するようなことはもはや犯罪として認識されなくなっていることだ。だから公安部門はわざと、「それが犯罪だ」と、人民に教えようとしているのである。
実際、中国で近年、「襲警(警察への襲撃)事件」が多発していることは内外の報道によっても確認されている。大都市の重慶市では今年の10月、政府主催の「襲警対策フォーラム」まで開かれ、「襲警罪」という罪名の制定が提案されたという。
「襲警事件」の多発と、普通の市民が「襲警」を犯罪だと思わなくなるような雰囲気の蔓延(まんえん)は中国社会の不安定さの表れであろう。いつの日にか「中南海を襲撃するのは犯罪だ」とのスローガンが党中央から緊急発信されることになるかもしれない。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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