ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ 代表取締役兼CEO 森辺一樹
「Made in Japan(日本製)」。かつて、この言葉が世界で最も影響力を振るった時代があった。この言葉は、世界最高品質を意味し、信頼と安心の象徴であった。
世界の消費者は日本製を求め、そして日本製に憧れ、日本製であるか否かが購買行動の大きな基準の一つであった。日本製は、その他のいかなる国の製品をも超越する圧倒的なブランド力を持っていた。日本にとって最も良き時代の一つといえよう。
しかし、時は流れ、時代は大きく変わった。「Made in Japan」という言葉は、いまだ高品質の象徴であることに違いはない。だが、購買行動を決定づけるほどの力はもう持ち合わせていない。多くの行政や企業はこの期に及んでまだ「Made in Japan」の再来を信じ、その再現を捨てきれないでいる。気持ちは理解できるが、世界はパラダイムシフト(その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、価値観などが劇的に変化すること)を迎えたことを理解しなければならない。その理解なしに日本のさらなる発展はないだろう。
日本の品質や技術は決して低下していない。むしろより向上しているにも関わらず、なぜ「Made in Japan」はその力を失ったのだろうか。
理由の1つとして、韓国や台湾、そして中国という国々の技術が著しく向上し、製品によっては日本製と大差がなくなってきたことが挙げられるだろう。しかも、コストパフォーマンスにも優れている。かつて、日本製が圧倒的だった時代、韓国や台湾、中国といった国の製品は粗悪品の象徴だった。それが、この数十年で大きく変わったのだ。