ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ 代表取締役兼CEO 森辺一樹
成長著しいアジア市場への企業進出が後を絶たない。日本市場は20年もの間、ほとんど成長していない。今後の見通しも決して明るいものではない。人口減少や少子高齢化で内需は確実に縮小する。アジアへ打って出るという経営判断は、日本企業としては当然のことである。
しかし、多くの企業が戦略なきアジア進出をしてしまっている。その結果、現地法人の設立から数年が経過しても、なかなか売り上げを伸ばせず、先行きも明るい計画が描けないでいる企業は少なくない。
基本的には、「何を」「誰に」「どう売るか」という非常にシンプルな課題をクリアすることなのだが、そこに戦略がまったく存在していないため、課題をクリアできないでいるのだ。
まず、「何を」に関して言うと、高品質・高技術の日本製品もしくは日本企業製品を売ることに執着し、アジアの市場が本当に何を求めているのかを理解していない企業が多い。
この連載コラムで何度も繰り返し訴えているが、プロダクトアウト(市場のニーズを意識せず、企業側の意向や技術を重視して製品やサービスを開発し、それらを市場に投入する考え方)の概念は捨てなくてはならない。
高品質・高技術だけではアジア市場は取れない。いくら日本がアジアの中で先進的だからといって、日本市場のニーズを持ち込んでも、アジア市場には受け入れられないのである。
次に、「誰に」であるが、せっかくアジアに進出していながら、日系企業にしか売ることができていない企業が山ほどある。今はそれで良いのかもしれないが、あと数年もたてば、日系企業だけを顧客にしている企業は、アジアの現地法人を維持していけなくなるだろう。