ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ 代表取締役兼CEO 森辺一樹
ポスト中国と騒がれるインド。昨今の経済成長は著しく、ここ数年の経済成長率は9%台を維持している。2008年秋のリーマン・ショックの際は、さすがに5%弱まで落ち込んだものの、即座に回復を見せ、9%台に持ち直している。いくつかの研究機関では、13年にも経済成長率で中国を抜き、中印逆転の構図を予測している。
十分にあり得るシナリオである。インドの経済成長は今後も著しいことに変わりはない。しかし、中国がこの10年で成し遂げた豊かさへの圧倒的なスピードをインドが実現できるかには疑問が残る。なぜなら、インドにはいまだに根深い身分制度の問題が存在するからだ。
中国は、トウ小平の先富論のもと、先に豊かになれる者から次々と豊かになっていった。そこに身分の差はなく、誰もが豊かになるチャンスを平等にとは言いがたいが、少なくとも持っていることは事実だ。確かに、共産党員や共産党に近い人たちが多くの富を独り占めしている現実はある。しかし、それでも、中国には“成り上がり”が存在するし、“チャイナ・ドリーム”も存在する。農民が一夜にして大金持ちなることも、工場の工員が起業して大金持ちになることもあり得る。