政府は24日、一般会計総額で約90兆3000億円となる2012年度予算案を閣議決定する。当初予算としては、6年ぶりに前年度(92兆4116億円)を下回る。総額が圧縮されるのは、基礎年金の国庫負担財源2兆6000億円を、将来の消費増税を当て込んだ交付国債でまかなうため。実情は借金の先延ばしにすぎず、国債発行の政府目標を守るための「見せかけの財源確保」との声も上がる。
交付国債は政府が発行するいわば「借用書」。年金積立金を運用する独立行政法人に引き受けてもらい、その分、積立金を取り崩して年金給付に充てる。
積立金の取り崩し分は、政府が消費税増税の税収分から返却する。交付国債の発行時点で政府は現金を支出しなくてよく、12年度の一般会計予算では歳出に組み込まれず、予算総則に書き込むだけで済む。
基礎年金の国庫負担分が外れる結果、12年度予算の社会保障費は約26兆3000億円と、前年度の28兆7079億円を下回る見通し。借金の元利払いに充てる国債費以外の政策経費も68兆4000億円程度に抑制される。
また、交付国債は通常の国債と異なり、新規発行扱いされないため、12年度予算の新規国債発行も約44兆2000億円と、政府の「約44兆円以下」という発行目標を守れる見通しだ。ただ、将来、消費税増税分から積立金を返却するときは一般会計の歳出となる。
政府関係者は「実際には交付国債は国の借金を膨らませており、返済を延期しただけにすぎない」と指摘する。
政府は交付国債の発行や償還ルールを定めた関連法案を来年1月開会の通常国会に提出する方針だが、与野党などの反発で消費税増税が実現しなければ、「公的年金そのものの信頼性が揺らぐ」との懸念も強い。