ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ 代表取締役兼CEO 森辺一樹
新興国の企業と日本の企業では、リスクに対する考え方に大きな差が存在する。このことが、日本企業の新興国ビジネスに暗い影を落としているように思う。
日本人にとってリスクとはどのようなものなのか。日本では、“リスク=悪”という印象をもった人が少なくない。リスクというものは存在自体が悪であり、怖いものであるといった印象が強い。従って、高いリスクを取って高いリターンを狙うことなどもってのほかで、そんなことをする企業はタブーとされる風潮がある。可能な限りリスクを低く抑え、低いリターンでも良いので着実に得られる方が“正義”とされている。
一方、新興国では、“リスク=チャンス”であり、多くの企業がリスクを積極的に取ることで成長をしている。いわゆる「high risk, high return」「low risk, low return」というロジックがしっかりと認知され、皆がそのロジックの中で積極的にリスクを取り成長に努めている。
そのため、高いリスクを取って高いリターンを得ることをタブー視する人など少ない。むしろ、高いリスクを果敢に取り成長するという姿勢の方が、失敗を怖がりリスクを取らないことよりもずっと評価に値する。
いったい、この差は何から来ているのだろうか。成長期にある新興国と成熟期にある日本では、リスクを果敢に取り急成長すべき新興国と、リスクを極力避け現状を守らざるを得ない日本で、リスクに対する認識に大きな差が生じているのだろうか。もしくは、歴史が短い新興国企業と歴史が長い日本企業では、短いからリスクをたやすく取れるのと、長いから躊躇(ちゅうちょ)してしまうという差なのだろうか。