【ビジネスアイコラム】「強き者」を守る東電処理の本質 牧野洋 (1/2ページ)

2012.3.8 05:00

 政府が東京電力の実質国有化に向けて動き出した。法的整理しないままでの国有化であるから、「東電救済」と呼んでもいいだろう。

 東電自体は会社という器にすぎない。では具体的に誰が救済され、誰が責任を取らされるのだろうか。ステークホルダー(利害関係者)ごとに考えてみると分かりやすい。ステークホルダーは大きく(1)経営者(2)株主(3)債権者(4)従業員(5)消費者(6)納税者-に分けられる。普通なら納税者は無関係だが、実質国有化との話が出てきたので、ステークホルダーに加えておく。

 原発事故を受け東電は実質的に経営破綻している。誰に責任があるのか。消費者と納税者でないのは明らかだ。消費者は電力を消費しているにすぎず、納税者は公的資金投入がなければ東電とは何の関係もない。従業員にも直接的な責任はない。手厚い福利厚生などに対する批判はあるとはいえ、経営権はないからだ。

 にもかかわらず3者とも責任を取らされようとしている。東電の賠償金捻出のために消費者は電気料金値上げ、納税者は公的資金投入を通じて負担を強いられる。従業員は給与・企業年金カットなどをのまされる。

 本来ならば経営陣は責任を取る形で真っ先に退陣させられてもいいが、東電の実力会長の勝俣恒久氏らは今も経営を任されている。実質国有化が実現すれば経営陣一掃は必至だが、経営刷新で賠償金が捻出できるわけではない。

(次ページ)「強き者」の利益を守るのが日本型資本主義なのか?