■いたるところに誘惑 本社は危機感を
中国は日本に比べて不正が起こりやすい環境にあります。小さな不正がやがて大きな不正に発展することは、日本も中国も同じです。まず、中国で不正が起こるのは、それなりの機会を与えているからだと認識してください。
日本から派遣される駐在員は当初、最少人数にとどめるために管理部門の担当者がいることはまれでしょう。多くの場合、営業部門または製造部門の人員が派遣されます。
彼らの大半は、管理規定に従った処理はできても、管理規定を作成することは企業側の過大な期待と言わざるを得ません。また、金庫にある現金を数えることは管理の人員なら当然のことですが、製造系の総経理だと書類で報告されている金額を見るだけで、実査まで行っているケースは少ないのが実情です。
◆保管現金に上限額を
金銭を取り扱う社員が、最初は1日だけ私的に借りるつもりでいたところ、誰にも気づかれず指摘もされないうちに、少しずつ借りる金額が大きくなり、やがて不正使用へと発展する。こうなってしまうのは、いわば世の常です。
事件が起こってから、「あの人がそんなことをするとは…」ということをよく聞きますが、不正行為の原因の一端は会社の管理不足にあるといっても過言ではありません。