関税撤廃の例外 TPP交渉控え注目
また、どんなに需要が拡大しても、現時点で低コストで入手できるのは年10万トンまで。それ以上は778%の関税がかかるため輸入したくてもできないのが実情だ。
この枠について、鹿野道彦農水相は「増やす考えはない」との姿勢。米価を高く維持する農政から転換したはずの民主党政権だが、生産調整(減反)は続けており、輸入米の拡大は国内の需給を揺るがしかねないという事情があるようだ。
輸入米の売れ行きが注目されるのは、日本が交渉参加に向けて事前協議に入ったTPPの議論にも影響するからだ。交渉参加国で、日本人が好む短・中粒種のコメをつくっている地域は少ないが、九州大大学院の伊東正一教授の試算では、「TPPで日本に関税なしで輸出できるとなれば、5年程度で米国やベトナムが日本向けの栽培を増やし、400万トン程度を輸出してくる可能性がある」という。これは日本のコメ消費量の半分に相当し、実現すれば国内農業への影響は計り知れない。
政府はTPP交渉で、コメを関税撤廃の例外品目とすることを目指すとみられる。ただ、輸入米への「心理的なバリア」(西友)がなくなり、低価格米へのニーズが強まれば、消費者や外食・流通業者からコメの関税撤廃を支持する声が上がる可能性も考えられる。
政府はTPPの交渉参加を控え、コメの扱いにこれまで以上に神経を使うことになりそうだ。(高橋寛次)