日本は“蚊帳の外” 通商戦略で韓国に大きく出遅れ

2012.5.3 05:00

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 韓国の聯合ニュースなどによると、中国と韓国は2日、両国の自由貿易協定(FTA)交渉の開始を宣言した。韓国は昨年来、欧州連合(EU)、米国とのFTAを発効させており、中国とも実現すれば世界の三大市場で自由貿易が可能になる。一方、日中韓3カ国のFTAを目指す日本は“蚊帳の外”に置かれ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加も遅れている。今後の通商戦略で韓国に大きく出遅れることが懸念される。

 中韓両国は今年1月の首脳会談でFTA交渉開始に事実上合意し、実務レベルで調整を進めていた。

 一方、日本は3カ国によるFTA締結を目指し、今月13日から開かれる日中韓首脳会議で交渉開始にめどをつける考えだった。しかし、国内調整の遅れなどから中韓2カ国の先行を許し、今後の戦略の練り直しを迫られそうだ。

 経産省などによると、現在、韓国の年間輸出総額に占めるFTA相手国への輸出割合は36%で、日本の17%を大きく上回っている。さらに最大の輸出相手国の中国が加われば、韓国は輸出全体の60%超が原則無関税の自由貿易圏向けとなり、国際競争力の大幅な向上が見込める。自動車、電機などの輸出で韓国と競合する日本にとっては「計り知れない打撃」(通商筋)となりそうだ。

 日本もEU、米国とのEPA(経済連携協定)を模索しているが、農産物の関税撤廃などをめぐる意見集約が進まず、交渉入りすらできていない。TPPでも、国内対立を理由に先月の日米首脳会談で野田佳彦首相が交渉参加表明を見送っており、自由貿易圏づくりで韓国に大きく後れを取っている。

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