復興需要による景気回復軌道に乗れないまま、再び後退局面に入った日本経済。持続成長を実現するにはあらゆる政策の総動員が必要だが、経済成長を考える上で忘れてはならない観点がある。少子高齢化の影響だ。働き手が減る深刻な事態を放置しておけば経済規模も縮小する。人口動態の変化にどう対応するかは、日本のみならず世界共通の課題となりつつある。
成長率を1.2%下押し
労働の担い手となる生産年齢人口(15~64歳)が総人口に占める割合は1992年の69・8%をピークに低下し、2011年には63・6%まで落ちた。逆に65歳以上の老年人口は世界最高水準の23・3%まで上昇。05年には戦後初めて総人口が減少に転じ、実際に働いている就業者数も減少傾向にある。
こうした動きが経済に与える影響の分析は、経済政策を検討する上での新たな重要テーマで、研究も本格化しつつある。そのうち日銀が最近まとめた報告をもとに、人口動態の変化が中長期的な成長力に及ぼす影響をみた。
まずは働き手の減少がどれくらい経済成長のマイナス要因になるかだ。日銀の試算では、働く女性・高齢者の割合が今後も変わらなければ就業者の減少が加速し、30年代には成長率を1・2%も下押しする。インパクトは大きい。